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ー希望ー26

 和也の言葉に颯斗は首を傾げながらも、 「そうですか……。 よほど、信用出来る人にしか話せない話なんですね」 「そういうこと。 裕実達は小さい頃、色々とあったんだよ。 でも、その話を聞いて、俺は裕実のことを嫌いになったりはしないって誓ったから、裕実は俺に話をしてくれたんだからな。 だから、お前も、もし実琴に話を聞いても、決して実琴のことを嫌いにならないでくれよ。 寧ろ、幸せにさせてやってくれ。 俺には実琴のことを幸せにさせることは出来なかったけど、裕実は俺が幸せにさせるって誓ったからさ」 「分かりました。 実琴は私が幸せにしてみせますよ」 「なら、良かった。 これで、俺はお前と話が出来て満足した。 さて、そろそろ帰ろうか? 望は寝不足なんだろ? それなのに今日はここに来たんだ?」 「それは、俺じゃねぇよ。 帰り道に雄介と夕飯の話をしてたら、雄介が外食がいいって言うから、ここに来たんだよ」 「まぁ、付け足して言うとな……最近、望は忙しいやろ? せやから、栄養がつく物にしよーって思うてな。 俺が作ってもええねんけど、帰ってから作るとなると時間が掛かってまって、余計に寝る時間がなくなってまうやんか」 「だよな。 やっぱ、今日はそろそろ帰ろうぜ。 明日もまだ仕事があるしさ」 「そうだな……」  和也の言葉でみんなは立ち上がると、颯斗はさりげなく伝票を持ち、先にレジへと向かう。  それに気付いていない和也は伝票を持っていこうとしたのだが、既に伝票はなかった。 「ん? ここに掛かっていた伝票がねぇぞ?」 「それなら、颯斗が持って先に行きましたよ」  と実琴は、颯斗に聞いたことを和也に答える。 「……へ? マジか……アイツ、そういうことは早いのな」 「それと、颯斗は僕に言っていたのですが……今日は颯斗の奢りでいいって言ってました。 和也に何か言われたら、『君は私より給料貰ってないんだから……今日は私に遠慮しないで大人しく奢って貰ってくれ』とも言ってましたよ」 「くっそー! そういうことかよ。 確かに給料は俺の方が少ないけどさぁ、なんか、アイツに言われると悔しいんだけど……」

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