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ー希望ー25
「そういうことでしたか……。私のことは興味は無いってことですね」
「ああ、興味ねぇーよだ。俺が興味あるのは裕実だけだしな……」
和也はそう言いながら裕実の体を後ろから抱き締める。
「まぁ、そういうことだよね。話は変わるんだけど、梅沢さんはもう実琴には興味はないのかな?」
「それは、さっき言っただろ? 俺は今は裕実しか興味ねぇって……」
「まぁ、確かに興味は無さそうだけど……。君の初めての相手って、実琴だよね? 君の時の実琴ってどんな感じだったのかな? って……」
いきなりのフリに和也は飲んでいた飲み物を吹きそうになる。
「いきなり、そんな話かよ」
「逆に言えば、仕事場じゃこんな話は出来ないだろ?」
「まぁ、そうだけどさ。でも、そんなことを俺に聞かれても、実琴には悪いが、覚えてないんだよな。あん時の俺は教えてもらうだけでいっぱいいっぱいだったし」
「教えてもらっていた?」
「そう! 俺は実琴に教えてもらいながら実琴のことを抱いてたんだよ。男とは初めてだったしな。だから、その話は実琴に聞いてみた方がいいんじゃねぇかな?」
颯斗は和也にその話を聞いて実琴の方へと視線を移すと、
「じゃあ、実琴……君は梅沢さんの前に誰かがいたのかい?」
その颯斗の質問に実琴は頬を赤くしながら見上げる。
「あ、いや……」
実琴は顔を俯け、チラリと今度は裕実の方に視線を向ける。
「……へ? 僕ですか!?」
いきなり実琴に裕実の方へと視線を向けられ、裕実は視線のやり場に困り瞳を宙に浮かせていたのだが、裕実は視線のやり場に困り今度は和也へと視線を移すのだ。
「……へ? 何で、俺!?」
和也は眉間を寄せながら考えていると、何か思い当たる節があったのか、手を叩き、
「なるほどー、そういうことな! まぁ、俺は裕実から聞いたけどー。実琴もそうだったってことか……」
和也は一人納得すると、颯斗に視線を向け、
「悪いが……この話は俺から話すことは出来ない。新城は実琴に信じてもらえるようになれば、自然と実琴が話してくれるんじゃないか? 裕実だって、なかなか、この話をしてくれなかったしな」
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