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ー希望ー33

「そういう坂本だって、結婚したんか?」 「俺はまだだな。あの職場に女っ気はないし、忙しくてもたまにみんなで合コンに行くけど……。モテない訳じゃないんだけどさぁ、職業が職業じゃんか。何か職業を聞いただけで引いちゃう子とかいるしさ。ほら、俺達の仕事っていつ命落とすか分からないだろ? だから、そこが嫌なんだって……」 「やっぱ、そういうもんなんか。何かそないなことを言われた気がするなぁ。せやから、医者になったってのもあるんやけどな」 「ってことは、長年付き合っている彼女でも居るのか?」  雄介の親友だった坂本には一切、雄介が男性のことが好きだということを言ったことはない。普通、一般的に考えて男性を好きになる人というのは少ないのだから、そういう話題にならない限り、話にはならないのであろう。 「あ、いや……そういう訳でもないんやけど。ま、色々とあったって訳や」 「ならさぁ、今はフリーってことか? 今度、合コンしないか? 雄介の職場仲間を呼んで……医者との合コンだったら、女の子達来るだろうしさ」 「あ、ほら……俺、まだ医者なったばっかりやしな。せやから、まだ仲間とかおらんし、もうちょっと先にしてからに……って、お前は今入院しとるやろうがー! 合コンの話は退院してからにしてや。今は治療に専念やで!」 「そうは言うけどさぁ。前に行きつけの医院に行ったら、風邪だって言われて、それがなかなか治らなくて、もう一度その医院に行ったら、医者に首を傾げられて、それでこの病院を紹介されて入院ってなったんだけど……」 「そうやったん? 風邪が長引いてるのとは違ゃう感じなん?」 「んー、風邪が長引いてるだけなら入院までさせられないと思うんだけどな」 「風邪からというと肺炎……あ、いや……これは違っておったんやっけな……」  雄介は何に当てはまるのか考えているようだ。首を傾げ、瞳を上に向けて考え込んでいる。 「他に心当たりある症状はあるんか?」 「んー、風邪と言っても熱とかは無いみたいだし、後、鼻水は無い感じなんだよな。咳だけが……って所か?」 「今は出ておらんみたいやけどな……」 「そうなんだよ! それは治療のおかげかなぁ? って思ってたら、夜中とか朝方に多いしさぁ」

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