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ー希望ー40
雄介は望の体を抱き上げると、部屋を出て行く。
そして駐車場に向かうと、片手でドアを開け、助手席に望を乗せるのだ。
雄介は一息吐き、車を走らせる。
「ホンマ、望は頑張り過ぎやって……熱が出るまで頑張るやもんなぁ」
ゆっくりと望が寝ている中、雄介は独り言を漏らしながら車を走らせ、まずは買い物をしにスーパーへと向かうのだ。
ここのところ家で食べる暇はなく、雄介自身も料理をしていないような気がする。
今日は時間があるのだから、望には少しでも栄養がつく物や食材を色々買っておいた方がいいのかもしれない。そう、冷蔵庫には何もない状態なのだから。
いつもの道を今日は早く帰って行く。
いつもと変わらない景色なのだが、いつもと違うのは陽が高いっていう事だろう。
今の季節、体にはちょうどいい気温なのだが、仕事場では快適な温度でもあってか、車の中も快適な温度にしている為か、実際の気温がどれくらいなのか分からない状態だ。
医者という仕事はあまり外に出る仕事ではない為か、温度ではあまり季節感を感じることが出来ない。
雄介が前まで仕事をしていた職業は、昼には外に出て訓練をしていた為か、毎日のように気温で季節感を感じていたのだが。
雄介はスーパーに着くと、食材と日用品を買うことにする。
こんなゆっくりとした時は、これからはあまり無いだろう。そう、買える時に物を買っておくしか今は無い。
雄介は一応、車の中で眠っている望の為に車のエンジンをかけ、スーパーの中へと向かう。
だが望を車に残してきているのもある為か、ゆっくりと食材を選んでいる暇はないようで、急いで雄介は買いたい物を選ぶとレジへと向かうのだ。
そして急いで車に戻ると、どうやら望は目を覚ましたようで、
「どこに行ってたんだ? つーか、何で俺は車の中に居るんだ?」
望が目を瞑り記憶を無くしたのはまだベッドの上だったのだが、今気付いた時には車の中にいるのだから、そういう疑問が浮かんだのであろう。
「あ、スマンな。望の親父さんから今日は帰ってええっていうお許しが出たからな……だから、とりあえず、今日は帰ることにしたって訳や」
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