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ー希望ー53

「運命って?」  雄介は話が長くなると思ったのか今まで望の上にいたのだが、ベッドへと横になって、 「運命って、色んな意味があるやろうなぁ。 望と出会ったこと。 これは、出会いでの運命やし、前みたいに震災で助かった人もいれば、助からなかった人もいる訳やし、そういうことも運命ってとれるしな。 人生って、人それぞれに運命の道が分かれていて、何かがあった時にその分かれた道によって、今後どうなるかが変わるんだと思うわぁ」 「そういうことか……。 そんなこと言ったら、俺も雄介に出会って、運命を変えられたような気がするな。 もし、お前に出会ってなかったら、俺は今頃何してるんだろ? って思うし。 普通に結婚とかして子供がいたっていう人生だったかもしれないしさ、もしかしたら、和也と恋人同士になっていたかもしれないしさ……それは分からねぇよな?」 「そやね。 まずは、俺があそこで望がいる病院に入院して来なかったら、どうなってたんやろ? って感じやしな。 そいで、あの時、俺が望に告白してから、もし、その時に望が俺からの告白を断っていたら? ってことやね」 「そういうことだな。 運命の分かれ道で人はどれを選択するかで、運命が決まってくるってことだよな」 「まぁ、そういうことやな。 あのさ、話は変わんねんけど、確かに、最初の印象は悪かったかもしれへんけどな……何で、俺と付き合う気になったん?」  いきなりの雄介からの質問に望は一瞬、動揺し雄介から視線を反らすと、 「俺にもそこはよく分からねぇんだよ。 ただ、付き合ってみよう。 って思っただけだからさ。 別に深い意味とかそんなのはなかったぜ。 だけど、和也から告られた時とは違う感じがしたからよ」 「まぁ、それはしゃーないか。 男から告られたの初めてやっただろうしな。 せやけど、嫌やったら別に断っても良かったんやで、俺は確かに望に告ったけど、オッケーをもらうのに時間掛かっておったから、半分以上は諦めておったしな。 それに一目惚れでその場の勢いやったしな」 「なんだろ? よく分からねぇんだけど、別に断る理由がなかったんだよな。 始めはあんまりお前のことを好きだとは思ってなかったのにさ。 ほら、そこも……お前が言う、運命とか言うやつなんじゃねぇのかな?」

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