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ー希望ー81

「まぁ、色々と忙しかったし。 今度、暇な時にでも連絡入れておくようにするわぁ」 「もしかして、お前も親父が苦手だったりして」  望は半分ふざけたつもりだったのだが、どうやら当たっているようで雄介は視線を反らし、望の肩を掴む。 「ん……まぁ、そういうことやね……苦手っていうか……頑固やからなぁー、ウチの親父は……せやから疲れるっていうんか……人の話を聞いてくれへんっていうのか……とりあえず、俺はあまり話とうないねん……」  そう言ってきた雄介なのだが、急に望の肩に手を置いている手に力が入ってきているようにも思える。 「まぁ、分かるけどな。 って、そんなに手に力入れたら痛ぇよ。 それでなくてもお前の場合は力あるんだからさぁ、そんなに力まなくても別に俺は無理に親父さんのところに話しに行って来いよ。 とは……?」  と、未だに手に力を入れ、望の肩を握っている雄介。 そんな雄介の様子に疑問に思った望は、俯いている雄介の様子をうかがってみる。  望が雄介の顔色を覗き見ると、暑くもないのに雄介の額には汗が滲み、呼吸も荒く浅い呼吸をしているようにも思える。  そんな雄介に望は大きな息を吐き、 「って、何だよ。 お前なぁ、どっか痛い場所があるんじゃねぇのか?」  望がそう質問しても雄介からは返答はない。 「……雄介? やっぱり、どっか怪我してねぇか?」  望は肩に置いてあった雄介の手を離すと、雄介の体を床へと横にさせる。  ベッドまで運びたかったのだが、和也や雄介なら軽々と運ぶことができるのであろうが、望の腕で雄介をベッドまで運ぶのは無理であろうと思い、床へと寝かせたようだ。 「さっきヘリが墜落した時にどこか怪我したんだろうけど、今んとこは外傷がないから分からねぇんだけどよ……雄介、とりあえずどこが痛いんだ? 子供じゃないんだから答えられるだろ?」  その間に望は雄介の服の前をはだけさせ、体を触り、雄介が痛がりそうなところを探り始める。 「あ、……たま!」 「頭!?」  雄介にそう言われ、望は雄介の頭を触るのだが、やはり傷は見当たらない。 「とりあえず、裕実みたいに傷にはなってないみたいだから、MRI撮ってみてなんとも分からないところなんだけどさ、まぁ、多分、ただの打撲だとは思うけどな」

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