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ー希望ー82
望は一瞬、電話で和也のことを呼ぼうと思ったのだが、和也は今きっと裕実のことを心配していると思ったのか、望は部屋を出るとストレッチャーを取りに向かう。きっと望の腕では雄介の事を運べるとは思わなかったからであろう。
そして雄介をMRI室まで運ぶと、検査をし、その場で見ていた望だが、何でもないことに安心したようだ。
再びストレッチャーで部屋へと戻ると、
「MRIではなんでもなかったから大丈夫だ。だけど、もしかしたら、まだ脳内で出血してないのかもしれねぇから、今日は家に帰らずにココでゆっくりして、様子見て、明日大丈夫そうなら、いいんだけどな」
「スマンな……心配させてもうて……」
「気にすんなよ。今日、一番大変だったのは雄介だったんだからよ。まさか、ヘリが墜落するなんて思ってもなかったことだし」
「まぁ、確かにな……」
雄介はストレッチャーから起き上がると、まだふらつくものの、
「ほなら、とりあえずベッドに横になってるな。望じゃ俺のこと運べんやろうし」
雄介は望にそう言うと、今は望と和也の部屋で雄介は慣れた望のベッドに向かう。
そんな雄介の姿を望は目で追うと、望も雄介の後を追ってベッドへと向かうのだ。
そんな望に雄介は目を丸くしながら望のことを見上げる。
「そんなに驚かなくてもいいだろ? 今日は俺も疲れたから横になりに来ただけなんだからよ」
「ぅん……まぁ……そうやねんなぁ」
「俺が一緒に寝て不満なのか?」
望は雄介の頬を両手で包み雄介の瞳を見つめる。
「あ、いや……そういう訳やないんやけど……いつも、望は忙しそうにしとるから今日も遅くなるんかなぁ? って思ったんや……」
「確かにやることは山ほどあるけどさ、今日は素直に疲れたから俺も休むことにしただけだからよ」
そう言うと望は雄介の頬を包んでいた手を離し天井を見上げる。
「そうやったんか……」
「とりあえずさ、横になってたら大丈夫なのか?」
「まぁな……起きてるよりかは楽って感じやな」
「そっか……なら、大丈夫だな。相当、まだ痛いようなら痛み止めでも打ってやろうと思ったんだけど……?」
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