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ー信頼ー28

「あ、まぁ……一応な……」 「なぁ、それ見てみたいんやけどなぁ」  その言葉に望の方は頭を俯けて、何かを考えているようだ。 「やっぱ……その……持って来られない理由とかっていうのがあるんか? とりあえずなぁ、俺的には隠し撮りした写真だって和也が言うとったから、一度確認しておきたいっていうのもあるんやけど」  その雄介の言葉に望は立ち上がると、黙ってリビングを出て行ってしまう。  だが、暫くしても望がリビングへと戻って来る気配はなく、雄介は和也の方へと視線を向けて、 「もし、望がこのままどっかに行ってまったら、和也のせいやからなー!」 「……はぁ!?」  突然の雄介の言葉に意味が分かってないのか、裏声を上げる和也。 「ホンマ、隠し撮りとかっていうのもあり得へんし、そりゃな、本人がええって言うんやったら、ええのかもしれへんけど、嫌な写真やったらどうすんねん?」 「流石にそんな写真は撮ってねぇよ。それに、みんなで旅行に行った時の写真とか、海に行った時の写真とかっていうのもあるしな。ほら、前にみんなでスキーとかに行った事があっただろ? そん時に撮ったのとか……まぁ、プライベートの時の写真が殆どだけどな」  そんな事を話していると、望はアルバムを二冊程手にしリビングへと戻って来る。  だが、何故だか望は顔を赤くさせていた。そして、その頼まれていたアルバムをテーブルの上に置く。  雄介はその置かれたアルバムの一冊を開く。  すると一枚目には、望と和也が初めて会った時の写真があった。そこには、まだ医者として、看護師として初々しい二人の姿だ。 「あー、こんなのも撮ってたんだな。懐かしいなぁ、俺と望初めて会った時の写真だな。まぁ、俺が無理矢理撮った一枚でもあるんだけどよ」  そう和也が説明していく中、最初の頃というのは望と和也ばかりだったのだが、その途中からは雄介も加わり、裕実も加わっている写真へと変わって行く。  そして一枚、一枚見ていると、写真の下の方には望のコメントが残されていた。  『みんなでスキー旅行/雄介、裕実、和也』『久しぶりに雄介との再会/in空港』『みんなで海/雄介、和也、裕実』等、望が書いたと思われるコメントがそこに残されていたのである。

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