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ー信頼ー29
「なんだ……そういう事やったんか」
どうやら雄介はその写真を見て何か分かってきたようだ。
「まぁ、一応、俺は写真が趣味だしな。だから、今までのを撮ってきたって訳。それに、人物だけじゃねぇんだぞ。写真が趣味っていうだけあんだから、俺的には景色も撮ってたりするんだよなー。まぁ、俺的にはあと、裕実の写真もいっぱいあるんだけどよ。まぁ、裕実との写真っていうのは、ヤバいのもあるんだけど……ほら、挿れてる時の写真とか……まぁ、そこは俺の宝物的な感じだから携帯に入れてあるって感じかな?」
雄介はそんな和也の話を聞きながら、一冊のアルバムを閉じ、二冊目の方を見始める。
すると、そのアルバムには先程、和也が言っていたように隠し撮りしたような写真がいっぱい出てきた。むしろ、こっちは雄介の写真しかないように思える程だ。
そのアルバムの方にも望の一言コメントみたいなのが残されていた。
『消防士雄介』『トレーニングに励む雄介』『レスキュー隊員おめでとう!』『レスキュー隊の制服似合ってるぜ』等、そこにも沢山の望のコメントが残されていた。
「なるほどな、そういう事やったんか……これで、よーく分かったわぁ。望が最初、この話をした時になかなか動かなかった理由と、なかなか戻ってこんかった理由がな。そりゃあ、こんなに望がコメントをこのアルバムに残しておったら、望の性格からしてみたら、アルバムを俺達に見せたくはないやろなぁ」
「まぁ、そういう事だな」
「ほな、コレはもうしまっとき、俺の方はもうこの事については納得したしな」
そう言うと雄介はアルバムを閉じ、望へと渡す。
望の方はそれを持ってさっさと部屋へと持って行ってしまう。
「ほな、スッキリしたし、飯でも作ろうかな?」
雄介は立ち上がると、いつものようにご飯を作り始める。
暫くして作り終えると、雄介はみんなの事を呼び、四人は食卓へと座ると手を合わせ、「いただきます」と言い食べ始める。
「ほんで、今日も診療所には誰も来ぇへんかったんか?」
「ああ、まぁな。お前達の方は何かあったのか?」
「まぁ、一応な。それで、明日、子供達がここに来る事になってんねんけど、ええか?」
どうやら、さっきのアルバムの件で不機嫌そうな望に恐る恐る問う雄介。
「まぁ、とりあえず話聞いてくれるか?今日は子供達とちびっこ消防団を結成するっていう事話したんやけど。あ、まぁ、それで、和也がな……いけなかったんやって!その話の途中で、診療所の方に戻ったかと思ったら、さっきの俺の写真を持ってきて、ホンマに子供達が信じちゃって、それで消防団を作る事になったって訳で……あ、いや……そこは、昨日、みんなで話をしている時に消防団を子供達と作るとは言ってたんやけど……」
そう雄介の方は本当にこの話を望にしたら気まずくなるとでも思っているのか、視線を逸らしながら言葉も慎重に選んでいるせいか、しどろもどろな感じだ。
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