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ー信頼ー98
「なぁ、望、定期便って何時に着くかっていうの分かるか?」
「んー、とりあえず、お昼頃なんじゃねぇの? 前に俺達が着いたのもそれくらいだったしな」
「そっか……お昼くらいだな。とりあえず、暗くなっても仕方ねぇし、なるようになるしかないか!」
「そういうこっちゃな」
雄介たちは朝食を食べ終えると、いつものように診療所の準備をし、患者さんを迎え入れるのだ。
すると、雄介は患者さんと世間話を交えながら診察をしていると、
「……台風!?」
そう言われてみれば、昨日の夜あたりから風が強かったようにも思える。
「そうなんですよ。今日の夜にはこの島にその台風が接近するらしいんですよねぇ」
「それ、本当ですか!? ということは、週一回しか来ない定期便というのは明日以降になるんですかね?」
「そこは、分からないんだけどね」
「そうですか……」
雄介はその患者さんを診察室から出て行くのを笑顔で見送ってから、窓の外へと視線を移すのだ。
確かに今の患者さんが言っていた通り、まだ雨は降っていないものの、昨日の夜に比べたら幾分か風が強くなってきているようにも思える。いつも静かな島なのだが、風が強くなってきたせいで木々が揺れ、不気味な風音が響いてきているようにも感じられる。
「この風で船は大丈夫なんやろうか? 流石に船は出せへんやろなぁ?」
そして、お昼になると、四人はいつものようにリビングへと集まるのだ。
「さっきな、患者さんが言っておったんやけど、どうやら台風がこの島に接近してるらしいで……」
「……へ? 台風?」
「そう言われてみれば、朝の天気予報でもやっていたような気がします」
「せやから、船の方は大丈夫なんかなぁ? って思ってな。流石に今日は船の方は出さんと違う? まぁ、接近予定っていうのは夜やって言うとったけど……。もう風の方は来てるしな」
「あー、そう言われてみれば窓が風で揺れてるよな。それなら、やっぱり定期便は明日になるのかなぁ? そういや、もうお昼だっていうのにウチのお袋から連絡も来ないし、全く来る気配すらもないしな」
「そうやんなぁ」
「まぁ、あくまでお昼くらいだったってことだからな。遅れることもあるだろうしさ、今日はやっぱ船出さなかったんじゃねぇのか?」
「そうなのかもしれへんなぁ。まぁ、心配やって言うんやったら、電話してみたらええやんか……流石に携帯くらいは持ってるやろ?」
「あー! そうだな! 電話してみるか!」
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