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ー信頼ー120
その望の言葉に裕実と和也は視線を合わせる。
「昨日、お前が言ってたことと違うじゃねぇか……。 確かにあの瞬間、俺もお前の言葉に納得したんだけどさ」
「確かに、僕はああ言いましたけど、まさか、無意識だったってことまでは分かりませんでしたよ」
二人が今何を言っているのか、望には分かっていないことだ。そんな二人の会話を耳にしながら望は海の方を見つめる。
昨日とは違い、海はだいぶ穏やかになったように思える。ゆっくりとではあるのだが、波が静かに砂浜へと上がり、そして引いていっているのだから。
もう昨日のお昼に船が転覆してしまってから二十四時間。 そして雄介が海に飛び込んで行ってしまってから約二十四時間が経とうとしている。
昨日しっかりと雄介のことを止めておけば良かったと、今更後悔しても遅いだろう。
雄介のことを引き止めたかったというのもあったのだが、やはり昔レスキューで働いていた雄介に、要救助者を救って欲しいという気持ちがなかったわけではない。だからそう強くは引き止めなかったというのもある。雄介がいれば、どんな人でも助けてくれるんじゃないかという希望があったからだ。
望や雄介は今まで事件や事故に巻き込まれながらも、どうにか助かってきたことがある。そういうのって運が強いとも言うのであろうが、もしかしたら恋人がいたからこそ、そのパワーで助かりたい! っていう気持ちがそうしていたのかもしれない。それに職業は違えど、お互い人を助ける仕事をしていて、それぞれの立場で共に助けることができていた。
だから昨日、望はそんな思いから雄介に要救助者を任せたのだ。
だが、要救助者は多分、今のところ全員助かっている。けれどもその助けに行った本人が未だ帰ってこないだけだ。
今まで苦難を乗り越えてきたつもりだったのだが、今回は流石にその苦難を越えることができなかったということだろうか。いや、そんなことはない。恋人を想う気持ちがあれば、きっと帰ってくる。いや、絶対に雄介は望の元に帰ってくると信じよう。
「……望さん、大丈夫ですか?」
裕実からそう声をかけられ、望はびっくりしたような表情で裕実のことを見つめる。
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