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ー信頼ー122
裕実という人間は昔、暗い過去があったのだが、和也と一緒にいるようになって、やっと幸せを実感できるようになった。前向きで明るい和也。そんな和也のおかげで、裕実からしてみたら、本当に楽しい毎日が送れるようになった。
裕実は最初、雄介の方がタイプだったのだが、雄介には望がいたから諦めたようなもんだ。だが和也と働いていて、和也の優しさに触れ、明るい性格にも惹かれ、そんな和也の魅力にいつの間にか好きになってしまっていた。
あの日、病院の屋上で和也から告白を受けた裕実は、すぐに答えを出すことができた。そして裕実には本当に暗い過去があったのだが、それを和也に打ち明けた時、普通の人間なら引いてしまうようなことだったと思うのに、和也はそれをも受け入れてくれた。逆に一緒にずっといたいと言ってくれた。それから裕実は和也にいろいろと学んだような気がする。馬鹿みたいに遊ぶことやはしゃぐこと、人生を楽しむこと。そんな人間らしいことを教えてくれたのだから、今の裕実があるのかもしれない。
「そうだ! 雄介が帰って来たらさぁ、望から雄介のことを抱きしめて、チューしちゃえ! チュー! それとも、ビンタでもするかー?」
そんな和也の言葉に望は顔を赤くしながら、
「チューもしねぇし、ビンタなんかする訳がねぇだろがぁ」
「じゃあ、望から雄介のことを誘っちゃう?」
「お、俺が……間違っても、そんなことする訳がねぇだろうが……」
そうは言うものの、最後の方は小さな声で答えたようだ。
「そう言葉を詰まらせたってことは……そういうことを想像しちゃったってことですかぁ!」
「……あー! 俺からしてみたら絶対にそんなことはありえねぇーから!!」
「そうやって逆に強く言うってことは、そんなつもりっていうことですか……。ほー、ほー! 望がねぇ、雄介に対してはやっぱり素直ってことなんだな。それでー、今まで望は何回、雄介のことを誘ったのかな?」
「……って、俺がそんな質問に答える訳がないだろー」
「やっぱ、バレちゃいましたかー。上の空では聞いてなかったって訳ね……」
「つーか、お前はうるさいから、黙っとけ!」
そう呆れながら言う望なのだが、もう和也とはあーだこーだで十五年も一緒にいる。そうだから和也の性格というのは十分に承知している。きっと和也はこの場を和ませるためにふざけてくれているのであろう。だが、仕事ではすごい真面目で、しっかりと望のパートナーとして十分にこなしてくれているのだから、本当に望からしてみたら和也というのは最高なパートナーだということだ。
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