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ー信頼ー123

 和也は新人だった頃、裕実並みにドジだった記憶がある。裕実のように薬が乗ったカートをひっくり返すわ、廊下では何度注意しても走るわで、完全に空回りしていた。しかし、そんな和也でも明るく患者に接する姿を見て、望はどこか救われていたような気がする。  確かに、カートをひっくり返すなどのドジはしていたものの、医療ミスにつながるような重大な失敗は一切なかった。だからこそ、望は和也を見放さなかったのだろう。きっと、和也は慣れれば成長すると分かっていたからかもしれない。  そして、望の見立て通り、一年もしないうちに和也は仕事に慣れ、今では望にとって仕事上のパートナーとしても、親友としても信頼できる存在となった。時には喧嘩することもあったが、それもまた良いことなのだろう。言い合える仲、心の内を話し合える仲――要するに、「喧嘩するほど仲がいい」とは、こういうことを言うのだろう。  喧嘩しては言い合い、それでお互いを理解することで、二人の絆はさらに深まっていったのかもしれない。 「もう、こんな時間か……」  和也は愛用の時計を見ると、時刻はすでに十二時を回っていた。 「とりあえずさぁ、自分たちがぶっ倒れる前に腹になんか入れて来ようぜー。もう、流石に腹が減りすぎて死にそうだしさぁ」 「そうですね」  裕実は和也に向かってそう答えると、今度は望の方に笑顔を向け、手を取りながら立ち上がった。 「望さんも行きましょう! ご飯を食べ終わってから雄介さんのことを待っても遅くはないですしね」 「え? あ、ああ……そうだな……」  裕実に促され、望は立ち上がると診療所の方に向かって歩き始めた。  家に戻ると、和也は冷蔵庫を開け、 「とりあえず、何作るかなぁ? んー、焼きそばかぁー!」 「お前さ、焼きそばもいいけど、雄介みたいに凝ったもんっていうのは作れないのかよ。確かにお前が作ってくれるんだから嬉しいんだけどさぁ。なんか凝ったもんっていうのは、天ぷらくらいしかなかったぞ」 「あー、そうだね……って事は、俺っていうのは、寧ろ簡単な物以外で作れるのは天ぷらだけって事で……」  その和也の開き直ったような言葉に、望はため息を漏らす。 「本当、その点じゃ、雄介さんって凄いですよねぇ。色んな物作って下さるんですものー」

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