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ー信頼ー124
「だよなぁ。本当、雄介は何でも作れるからな。前に雄介に『お前って完璧な人間だよな。容姿も頭も運動も料理も家事ができる奴だから、俺には勿体ないって感じなんだけど』って言ったことがあるんだけど……雄介は俺がいるから頑張れるって言ってたんだよなぁ」
「やっぱり、雄介さんと望さんはラブラブなんですね。望さんは雄介さんのことを好きなんですよね?それなら、雄介さんが帰って来た時にはチューとか抱き締めるとかじゃなくても、『好き』って言葉だけを伝えてあげてみてはどうでしょうか?」
「……へ?」
裕実の口から思いもよらない提案をされ、望は目を丸くした。
「行動を起こさなくても、たった二文字の言葉を言うだけなんですから、すごく簡単なことだと思いますけどね」
「そうだな。それくらいなら言えるだろ?恋人同士の合言葉みたいなもんなんだからさ」
和也はそう言いながら、出来上がった料理を運んできた。
「別に、愛の言葉だからといって、そんなに重たく感じる必要はないですよ。たった二文字の言葉だけで、相手に十分伝わるんですからね」
「そっか……たった二文字だもんな。確かに、それは考えておいてもいいのかもな……」
望がそう呟くと、和也と裕実は視線を合わせて微笑んだ。
「とりあえず、和也君が作った焼きそば召し上がれ!」
「まぁ、自慢できるような料理じゃないですけど、和也が作ってくれたんで、いただきます」
「確かに裕実の言う通りだけど、作ってくれたことには感謝してるよ。いただきます。雄介ならきっともっと美味しいものを作ってくれたのかもしれねぇけどな」
望は、いつも雄介が座っている隣の席を横目でチラリと見た。今日も雄介はまだ帰ってきていない。だから、雄介の席には彼も料理もない状態だ。春坂に住んでいた頃は空席があるのが日常茶飯事だった。しかし、この島に来てからは、雄介の席が空席になったことなど一度もなかった。
春坂での生活では雄介がいないのが当たり前で、その生活に慣れていた。しかし、この島での日々は違う。四人で食事をしている時、雄介と和也が会話をして場を和ませてくれていたことを、望はふと懐かしく思い出す。
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