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ー信頼ー127 ラスト

 望はしばらく雄介のことを見つめていた。その間、二人の間には静かな沈黙が流れていた。  今の望の頭には、さっき和也と裕実が言っていた言葉が何度もリピートされている。それをいつ実行するべきか、迷いながら立ち尽くしていたのだろう。  しかし、次の瞬間、雄介がそっと望を抱きしめようとした。その腕を望は思わず払い除ける。  そして逆に、望の方から雄介を力強く抱きしめた。 「……望?」  突然の行動に、雄介は驚きの声を上げる。しかしその直後、望は雄介を見上げ、気持ちを込めるように背伸びをして唇を重ねた。  それはたった数秒のキスだったが、雄介にとっても特別な感覚があった。  望はキスの後、雄介をじっと見つめ直し、静かに口を開いた。 「おかえり……。俺……雄介のこと……好き、じゃなくて……」  言葉を一旦切り、少し息を吸い込む。そしてまっすぐな瞳で言葉を続けた。 「お前のこと……愛してるから」  その言葉に、雄介は一瞬息を飲む。望が『好き』と言ったことはあったかもしれない。だが、『愛してる』と口にしたのは初めてだった。  『愛してる』――それは『好き』という言葉の中でも最上級の言葉。  本当にその人を深く愛したからこそ、伝えられる言葉なのだろう。  だからこそ、『愛してる』は誰にでも簡単に伝えられる言葉ではない。  本当に特別な人、心から愛せる人を見つけたときにだけ使える言葉。  望が雄介にこの言葉を伝えられたのは、心の底から雄介を大切に思い、愛していると確信したからだ。  ――いつまでも一緒にいたい。  その温もりある手を、ずっと握り続けていたい。  雄介は望にとって、そんなかけがえのない存在だった。  『愛してる』――その言葉には、辞書には載らない特別な意味がたくさん詰まっている。  だからこそ、望はこの言葉を、心から大切な人にだけ伝えた。  本当に大切な人へ。  ――『愛してる』という言葉を。 【ー信頼ー】 END 『ツンデレ君には甘いハチミツを』 END 最後までお読みいただき、本当にありがとうございました! 感想やレビュー宜しくお願いします!

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