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序章《エリックside》3
雅彦様は復讐時の顔つきが変わる。
「《雅彦様、ソフィア様の居場所が分かりました》」
「《そうか。見つかったか。ありがとうエリック》」
復讐の相手であるコルビナ様の溺愛している姪がソフィア様だった。
ソフィア・グランドール様。
早くして実母を亡くしたソフィア様をコルビナ様は我が子のように可愛がっていた。
ソフィア・フローレスという芸名で活躍し、欧州の妖精と言われている人気のモデルだ。
雅彦様は、そのソフィア様を自分のものにしようとしていた。
「《愛人の子が自分の愛している姪と結婚したらどう思うかなあの女は》」
そして時間をかけてソフィア様と接触することに成功した。
「《ソフィアが手に入りそうだ。だからエリック、君には俺の執事を辞めてもらう》」
「《何か気に触ることでもしましたか?》」
「《俺は復讐しか考えていない。だから、いつか君を巻き込んで危険な目に合わせてしまうかもしれない。洗脳が得意なあの女は何をするか分からないから。だから契約を終わりにしよう》」
あなたはとても優しい。
だから誰も傷つけないように1人で復讐を果たそうとしている。
「《私はあなたの執事です》」
「《主の命令だよ。俺の執事はもういらない。これからは俺ひとりで生きていく》」
そんなことはさせない。
あなたをひとりになど。絶対に。
「《私が不要なのですね…》」
「《あぁ、さよならだよ。4年間ありがとうエリック》」
そんな悲しいことがあってはいけない。
あなたは誰からも愛され、誰からも必要とされ、幸せになるべきなのだ。
それを受け入れて欲しい。
「《それでは、このナイフで私の首を切り裂いてください。主に必要とされない執事は死んだも同然》」
「《エリック…君は俺なんかの執事でいるには勿体無い。もっと他に君を必要としている有能な人物がいる》」
跪いてナイフを差し出すも、受け取らない雅彦様。
「《私は雅彦様の執事です。雅彦様の人生、私は最期までお供致します》」
私は受け取ってもらえないナイフを自分の首に押し付け、刃先を軽く下へと動かす。
その瞬間、雅彦様がナイフを奪ってため息をついて言う。
「《後悔すると分かっていても?》」
「《あなたから離れること以外の後悔はありません。あなたをお守りするのは私の役目です》」
「《君は優秀だと思っていたんだが俺と長い間共に過ごして優秀ではなくなってしまったようだね…分かったよ。共に堕ちよう》」
「《はい。喜んで》」
私は執事として雅彦様のお傍に一生いると誓った。
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