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第22話 タカとの出会いから2週間後
ハルとタカの出会いからちょうど2週間が経った。
その間、ハルはタカにお礼のメールを送り、数回やりとりをして終わっていた。
「最後に送ったのは・・・5日前か」
ハルはまたタカにメールを送った。
内容は母との会話についてだ。
タカからの返事は翌日に届いた。
メールには、今の気持ちはどうですか?と書かれていた。
それに対しハルは、悪くないです、とだけ答えた。
そこからさらに3日が経ち、タカからメールがきた。
今から電話してもいいですか?と書かれていたので、大丈夫です、と返事をした。
するとタカからすぐに電話がかかってきた。
「はい」
「ハルさん、お疲れ様です」
「え、あ、はい。お疲れ様です」
「声を聞くの、3週間ぶりくらいですね」
「ああ、そうですね。少しお久しぶりです」
「お母さんとのこと、連絡くれてありがとうございます」
「ああ、いや、なんとなく伝えておこうと思って」
「そこでなんですけど、良かったらまた会いませんか?」
「あ、はい。ぜひ」
「ありがとうございます。おすすめのカフェがあるんですけど、そこで会いませんか?ハルさんの家からそんな遠くないです」
「はい!」
待ち合わせ場所と時間を決め、電話は3分ほどで終わった。
またタカと会える、ハルは少し嬉しい気分になっていた。
その頃、ハルとの電話を切ったタカは少し寂しげな表情でスマホを見つめていた。
そして約束の日。
待ち合わせ場所の最寄り駅にやってきたハル。
ハルのマンション最寄り駅から電車で10分、初めて降りた駅だった。
駅から5分ほど歩いた交差点に行くと、タカがすでに待っていた。
「あ、どうも」ハルがタカに声をかける。
ハルに気づいたタカがニコッと笑って答える。
「ハルさん、こんにちは」
「やっぱり、先に来ていたんですね」
「ああ、はい。もう癖ですねこれは」
ははっと笑って答える。
「僕のマンションから電車ですぐなのに、この駅降りたことありませんでした」
「おお!そうなんですね」
「なんだか新鮮です。タカさんはここらへんよく来るんですか?」
「この駅に来るのは、今から行くカフェに来る時くらいですね。あ、こっちです」
「はい」
カフェに行く途中に、少し世間話をした。
「あ、ここです」
案内されたカフェは、外観はとても古びていて壁には草が生い茂っている。お世辞にもおしゃれな雰囲気とは言えないものだった。
カフェを見て、そういえばタカは掴みどころがないし謎の人だった、とハルは思い出し、一瞬言葉を失った。
そんなハルにタカが笑顔で言う。
「安心して下さい。中はすごい綺麗なんで」
ドアを開けると、外観とはまるで違ったきれいな空間が広がっていた。
「ええ……なにここ……」
目を丸くして驚きながら、ハルが言う。
「あはは、100点満点のリアクションなんですけど」
「え、いやだって!違いすぎでしょここ。あはっ、あはは」
思わず吹き出して笑うハル。
「ですよね。僕も最初はびっくりしました。ギャップありすぎ。けど心地よいですよ。あまり人も来ないから」
「せっかく中はこんなおしゃれなのに、少しもったいない気もしますが……」
「それがこのお店のコンセプトなんじゃないですかね」
「え?」
「ハルさんが思った通り、外観をもっとおしゃれにしたほうが人は入りやすいと思うんですよね。でもそれをしないってことは……お店側、ちょっと選んでるのでは?なんて僕は思っています」
「お客さんを選んでるってことですか?」
「はい。何ここ~と思った人や好奇心旺盛な人に来て欲しいんじゃないですか?なんて。あくまで想像です」
ニコっと笑うタカ。
「えー……うーん……まあ確かに気には……なりますけど」
「でしょう?ハルさんにピッタリですよ。好奇心くすぐられるから」
ハルは一瞬ハッとした。
タカは、知らなかったことを知るのが好きと言ったハルの言葉を憶えていたからだ。
「それに人があまり来ないんで、客としては居心地いいんです」
「ああ、それはたしかに」
タカの目が、何か閃いたと言わんばかりに一瞬大きくなる。
「あっ!ハルさんこれ、あれです。隠れ家的なカフェってやつですよ!」
急に少年のような笑顔で言う。
そんなタカを見て、ハルもまた目が丸くなった。
こんな表情するんだ、そう思った。
カフェの店内は席が20席ほどもあるのに、ハルとタカ以外は1組しかいなかった。
2人は奥のテーブル席に座り、ブラックコーヒーを注文した。
店内は心地よい民族音楽のようなBGMが流れていた。
おしゃれさの中に少しの独特な空気が流れていた。
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