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第37話 周囲の目
「ね、湊。イルミネーション綺麗だし、もうちょっと歩かない?」
唐突な提案だったが、憂太と過ごせる時間が増えるのに断る理由なんてない。
それに、まだまだ憂太のことを知りたい。
「ん?良いよ、歩こ歩こ」
返事をして、映画館からの最寄り駅を通り越した。
こんな冬の寒い夜に、たくさんの光たちが街路樹に巻きついてキラキラと輝いている様子を眺めていると、どんどん人恋しい気分になってくる。
それなのに、すれ違うカップルたちは甘い空気を醸し出しながら、腕を組んだり、手を繋いだりしていて羨ましい。
「…ああいうの、良いなぁ…」
「ん?なんて?」
憂太と手を繋ぎながら歩ける日が来るのかな…と思ってるうちに口に出していた。
「いや、えと…映画でもあったけどさ、手繋いで歩くのって恋人の特権って感じがして良いよなって…」
そう言ったものの、こんな人通りが多い道で男同士が手を繋いで歩くなんて、変な目で見られるかもしれない。
それに、本当の恋人でもないのに、急にこんなことを言って憂太を困らせたくない。
「…じゃ、繋ぐ?」
憂太がスッと手を出してきた。
「へ?」
迷いなく手を出してくる憂太の行動に驚いた。
「いやいや、男同士だと目立つから無理だって」
「別に良くない?誰も見てないよ」
憂太の雰囲気に流されて手を取りたいのに、周囲の目が気になって勇気がでない。
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