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第40話 2人だけの新年会の計画
「先生、明けましておめでとうございます!」
研究室に入り、指導教員の先生やゼミの先輩たちにも挨拶をする。
「はい、おめでとう。今日は一段と元気だね」
「そうですかね、久しぶりにみんなに会えるのが嬉しいからかな」
「そうか。4年生が卒論の最終確認でばたついてるだろうから、そっとしてあげてね」
「はぁーい」
適当に返事を返して、憂太の姿を探す。
「(あ、いた)ゆうた、ゆうた!あけましておめでとーございます!今年もよろしくです」
ぺこっと頭を下げながら挨拶をした。
「あけましておめでとう。湊、なんか良いことあった?」
「ふぇ?なんで?」
「なんか、にやけてる」
気が付かないうちに、憂太に会えた嬉しさが顔に出ていたらしい。
「にやけてないですぅ」
「ほら、今も変な顔してる。うわ、湊くんは新年早々、煩悩まみれですか」
憂太と会えなかったのはたった2週間程だったのに、すごく懐かしく感じる。
「まみれてないし!ま、まあ、憂太も久しぶりに俺と会えて嬉しいことだろうし、新年会しようぜ」
これ以上、にやけ顔の原因を言及されないように話題を変えた。
「新年会っていっても、2人でしょ」
「正解!憂太の家で開催な」
「んー、良いけどー、うーん…」
普段からよくお互いの家に行き来していたから、返事を渋られて驚いた。
「え、だめ?」
「だめじゃないんだけど…もうすぐ実家がリフォームするから、これまでの僕の荷物を一時的に引き取ってるんだよね」
「つまり、今の憂太の部屋は散らかっていると?」
「そう、昔のアルバムやら制服やら一気に送られてきたからさぁ」
憂太は困ったように笑っているが、正直、憂太の過去を知れるこんな大チャンス見逃せるはずがない。
「え、行きたい!絶対に行く!むしろ泊まる!」
「やだ。なんか良くないこと考えてるでしょ」
「え、うん。当たり前じゃん。荷解きしたの?」
「してない。実家が落ち着いたらそのまま送り返すつもりだし」
「なんでだよ。もったいなさすぎる」
「何も面白いもの出てこないよ?」
「いいんだよ、それでも!」
俺の知らない憂太を知れるなら、何も面白いものが出てこなくても十分嬉しい。
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