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第39話 湊の葛藤
憂太に好きだと伝えられないまま新年になり、楽しみにしていた冬休みもあっという間に過ぎ去った。
ここ最近は昼前までベッドでダラダラしていたから、久しぶりに2限のゼミに間に合うように起きるとつらい。
もう忘れ物していても良いやと思いながら、リュックサックにパソコンや筆記用具を詰め込んで家を出る。
「(そういえば休みの間、ずっと憂太のことばっか考えてたな…)」
首の隙間から冷たい風が入り込まないようにマフラーをギュッと巻いて、考え事をしながら歩く。
多分、今の憂太との関係は友達以上、恋人未満というものだと思う。
憂太を見ていると、俺と同じ気持ちかもしれないと感じる時があって、告白しても受け入れてくれそうな気がしてくる。
だが、憂太との間には1つ問題がある。
それは、この居心地の良い曖昧な関係は「憂太には恋愛経験が無いが、俺にはある。だから、恋人ごっこを通じて憂太に彼氏としての振る舞いを教えてあげる」という俺の嘘がきっかけで始まっていることだ。
「(んー、好きって言う前に、本当は彼女ができたことないって打ち明けたら憂太はなんて言うかなー。怒るよなぁ、普通に…)」
怒られるだけなら良いが、失恋して憂太と離れるのだけは嫌だ。
振られても友達関係は続けられないかなとか、もういっそのこと何も言わずにこのままの関係を続けられないかなとかズルい考えばかりが浮かんでくる。
「(だめだぁ…どれだけ考えても俺の生存ルートが見つからない…)」
とはいえ、久しぶりに憂太の顔が見れると思うと、1秒でも早く会いたくなって、いつもより早歩きで大学に向かう。
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