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第42話 真っ白
憂太のアパートに到着して、玄関で靴を脱ぐ。
「おじゃましまーす、買ったもの一旦テーブルに置いて良い?」
「いいよ、冷蔵庫に入れた方が良いものだけもらう」
「はーい」
部屋の隅に積まれた3個のダンボール箱は、宝箱のようにキラキラして見えた。
「なー、さっそく憂太の思い出シリーズ見ていい?」
「いいけど、面白いものないよ?あと、出したら元に戻しといてね」
「わかってるって〜」
憂太は冷蔵庫に酎ハイや鍋の具材を入れながら、興味なさそうに返事をしていた。
ダンボール箱を閉じているガムテームは剥がされた形跡がなかったから、1度も開けてないんだなと思った。
「あ、これ高校の?へえ、制服ブレザーだったんだ。…ちゃんとボタン全部ついてるじゃん」
「うん、そうだよ」
もっと恥ずかしそうな反応をするかと思ったのに、なんだかあっさりしている。
憂太には後で制服を着せてやろうと思いながら、制服の下にあった高校の卒業アルバムを手に取った。
「みなとー、なんか飲む?お茶で良い?おかしも食べるー?」
台所から憂太がコップにお茶を入れる音が聞こえる。
パサ……。
アルバムを開けた瞬間、中から何かが落ちた。
「(ん?なんだろ?メモ?)」
足の上に落ちた2つ折りにされている紙は「ゆう君へ」という言葉から始まる手紙だった。
「(え?だれ?これ、女の子の字だよな…ちょっと待って…)」
読んではいけないと分かっているのに、綴られた文字を次々と目でなぞってしまう。
「(これ…元カノからの手紙なのか……え…?彼女…?)」
どういうことか理解が追いつかない。
頭の中が真っ白になる。
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