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第54話 両者の想い

2人で泣きながら話こんでいるうちに、すっかり日は暮れて夜になっていた。 隠しごとがなくなりすっきりしたからか、憂太に想いを打ち明けられたからか、急にお腹が減ってくる。 後で食べようと思っていたポテトチップスを開けて、パリパリと食べる。 憂太がチョコレートまで開けはじめたから、お菓子パーティみたいになっている。 「俺さ、めちゃくちゃ大学デビューしてやろうって頑張ったんだよね」 もうこの際だから、憂太には全部知ってほしくなった。 「高校までサッカーしてたんだけど、全員坊主でさ。今のこの時代にありえないだろ?」 「えー、見てみたいけどなあ、湊の坊主姿」 体育座りに座り直した憂太は、楽しそうにゆらゆら揺れている。 「やだよ!そんで!彼女が欲しいのに俺はがんばっても、がんばっても、チームメイトの恋をアシストばっかして、彼女ができなかったんだよなー」 「こんなに性格良いのに?」 「あはは。ありがと。なんか友達なら最高に良いけど、恋人としては見れないって言われてたんだよなー。友達なら最高ってなんだよ!」 ありのまま話せるのは、心地よかった。 「で、憂太にとんでもない提案をしてからはこの通り!それで…気付いたら憂太のこと好きになってた。恋愛的な意味で!」 さっきまでポテトチップスとチョコレートへ交互に手を伸ばしていた憂太の手が止まる。 「恋愛対象としてって、ほんとに僕と恋人になっても良いって思ってるってこと…?今、恋人ごっことかしてないよ?」 さっきまで何度か好きだと言ってたはずだが、まともに受け取っていなかったのか、憂太は驚いた顔をしていた。 「わかってる。恋人ごっこじゃなくて、えーっと、本物の…恋人になりたいんだ」 和やかな雰囲気なはずなのに、どんどん緊張してくる。 「……じゃあ、僕たち両思いだね。」 両思い。 照れながらその言葉を発した憂太を見て、嬉しさが一瞬で全身を駆け巡ったのか鳥肌が立った。

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