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前談

 皆さんは“エンジェルさん”をご存じでしょうか?80~90年代のオカルトブームの最中にコックリさんと並走して小学校に知れ渡った交霊儀式で、人によっては“エンジェル様“や“キューピッドさん”とも言います。  そう、エンジェルはエンジェルでも召喚に応じてくれるのは下級天使のキューピッドさんというわけです。素人な自分でもその辺にいる動物霊や身近な天使なら呼び出せるかもしれないという自信が、無意識に働いているのかもしれませんね。  エンジェルさんのルールはコックリさんとほぼ同様で、準備する道具も大差はない……とは言っても、ご安心あれ。お招きする相手が下っ端とはいえ天使様なので、コックリさんのように殺す等の殺人予告はなさらず、用事が済めばすんなり帰ってもくださる。安心安全なマッチングシステムなのです。これは心のどこかで“コックリさんの呪い”を信じている人達にとっては、都合の良い降霊遊びになった事でしょう。  エンジェルさんやコックリさんのどちらの術にしても、参加者達は心密かに“何か”を期待しているからこそ皆人差し指を硬貨へ添えるのですよね。その指先にこめられた“何か”は果たして、期待、恐怖、遊び心といった無垢な下心ばかりなのでしょうか?  儀式を始める前お互いに確認をしておいた方が良いかもしれません。もしかすると誰か一人は「コイツを呪って下さい」と指をさす為に、参加しているのかもしれませんから。

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