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第14話

「周囲はみんなカップルばっかり。その状況で『今日のチョコレートパフェは俺の気持ちだから』って台詞決めて。で、お前はそのときどういう態度だったか覚えてる?」  雅人の声が怒りで震えている。 「え、あの、俺、ちゃんとお礼を言った、よね?」 「うん。『ごちそーさま、友達同士でこういうのもいいよね。今度は俺がおごるわ』ってケロっとした顔で言っただろ!」  えっと……そんなこと言ったっけ? 「……言ったっけ?」 「言ったんだよ!」  雅人が悔しげに吐き捨てた。 「俺はさ、これからは勉強しなくちゃならないし、陸也とは進路が別々になるし、だからお互いの関係、とか立ち位置をはっきりさせておきたかったんだよ。だから、勇気を振り絞って自分の気持ちを伝えたのに……なのにお前が、これからも友達だって、言った、から……」  怒りの声に、湿っぽい吐息が混じる。嗚咽をこらえるような。  俺は呆然としていた。  なんてことだ。俺、なんて鈍感だったんだ。  あのときはまだ、雅人と特別な関係になりたいって自覚できてなかったんだ。雅人がそんなことを考えてくれてるって、思いもよらなかったんだ。 「いや、あの。俺、あの時まだそういう自覚っていうか……心構えっていうか、そういうのがなくって……全然わかってなくって……」  しどろもどろになって言い訳する。 「なのに……なのに、俺が『勉強するからもう一緒には帰れない』って突き放したとたんに、裏切られた、みたいな顔しやがって! その後あきらかに元気なくなるし、顔色悪くなって痩せていくし、ああもう俺はどうすりゃいいんだよ!!」  雅人は苛立ちをスマホに叩きつけた。

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