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ふたりの勉強会 side:優
「おい、寝るなよ」
「んー…ねないー」
荘が平仮名で喋り出したらだいたい眠い時だ。
気付いてないのか。
俺は今にも寝こけそうな荘の姿を見下ろしてため息をつく。
「んー…」
こらこら俺の腕に擦り寄るのはやめろ。
部屋に入ってきた時は随分と距離を気にしてるみたいだったから
こっちも気を付けてたのに、
数学が終わる頃には無防備に横になったりするし。
「まったく…」
「ゆうー…いっしょにねよ…?」
はやくーと言いながら腕を引っ張ってくる。
これはさっきと同じ生き物なのだろうか...
最悪だ。
もうすでに寝かかっている様子だけど
単に眠い時よりさらに酷くなっているように感じる。
眠くなると甘えるとか子供か、と
つっこんでやりたいけどこいつは子供じゃない。
高校生だ。そして俺と付き合っている。
眠気で目がとろんとしているし顔もどことなく赤い。
今襲われても文句言えないんだからな、わかってんのか。
そんなことを思いながら荘の頬を小突く。
「こら、早く起きろ」
「んー…きすしてくれたらおきるー」
「...」
質が悪すぎる。
俺はむにゃむにゃと寝言を言う荘に呆れながら
少し意地悪をしてやろうかとその名前を呼ぶ。
「…荘、こっち向け」
至極眠そうな顔の荘の顎を掴んで柔らかい唇を塞ぐ。
「…ん」
「…これで満足したか?」
ゆっくりと唇を離すと、それに気付いたらしい荘の顔が一気に赤くなる。
自分で言ったくせに照れてんのかよ。
「なななん…!き、きすした…!」
「荘がしろって言ったんだろ」
「え…、えっ…!?」
意味がわからなさそうな荘を放って英語の課題を開く。
それからは無防備にも俺を誘惑してくれた荘に
わざとやや厳しめに教えた。
あれだけ好き勝手したんだから当然の報いだな。
俺は必死に英語の問題を解く可愛い恋人に視線をやって心の中で呟く。
これが終わったら覚えとけよ。
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