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第109話
「それで、私は場所だけの問題であるのでしたら城の一室をと思ったのですけれど、アシェルお兄さまは公私の線引きを曖昧にしないためにも城は使ってはならないと仰って。ちょうどその時にラージェンと公爵が来られましたの」
話が止まったのはラージェンたちが来たからというのも嘘ではないが、その前にアシェルが結論を焦ったからだ。しかしフィアナもジーノもそれを口にはせず、どうするべきかとラージェンたちの応えを待つ。
「アシェルの用心深さはありがたいことだね。貴族は善意の者ばかりではないから、その用心深さがフィアナを守ってくれている。とはいえ、城が除外となると確かに難しいね」
王としてのラージェンは国全土を動かすことができるが、個人としては城以外で勝手に何かを決めることはできない。今回の場合は特に。
さて、どうしようかとまったく困っていない声音でラージェンが言えば、ルイはわかっているとばかりにクスリと笑った。
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