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第112話

「さて、困りごとも解決したし、食事も終わったからね。私はそろそろ失礼するよ」  あっさりと決まったように思えて、それなりの時間が経っていたらしい。既にアシェル以外は食事を終えていて、ラージェンは兄妹の時間を邪魔しないようにと早々に立ち上がった。同じようにルイも立ち上がり、ラージェンについて退室しようとする。二人を見送ろうとアシェルが車椅子を動かし、ジーノが立ち上がった時、パチン、と乾いた音が響いた。 「ごめんなさい、お兄さま。私、これからすぐに公務があることを忘れておりましたわ。せっかく来てくださったのだからゆっくりお茶をしたかったのですけれど……」  流石に公務をおいて兄たちを優先するわけにはいかないと、フィアナは心底寂しそうにへにゃりと眉を下げた。そんなフィアナにジーノとアシェルは慌てて首を横に振り、ラージェンとルイは立ち止まって振り返った。 「また来るから、その時にお茶をしよう」 「そうだよ、アシェルもこう言っているし、私もできるだけ顔を出すようにするから」  兄二人の慰めに微笑みながら、ひとつ頷いてフィアナはルイに視線を向ける。

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