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第143話

「まぁ! そんなに素敵な別荘をお持ちですの?」  アシェルがカトラリーを手に取った時、メリッサのはしゃぐ声が聞こえた。リゼルとソワイル侯爵の盛り上がりに何故かメリッサが瞳を輝かせながら参戦し、あれこれと別荘の詳細を聞いている。 「北の別荘はそれほど美しいんですの?」 「私も一度招いていただいたが、公爵が所有する別荘の中で一番美しいと思う。お伽噺に出てきそうな可愛らしい外観のお屋敷でね、庭も広くて、それはもう花々が美しいんだ」  メリッサの問いに答えたのはソワイル侯爵だった。隣で夫人がコクコクと頷きながら娘のカロリーヌと微笑み合っている。どうやらカロリーヌもその別荘に行ったことがあるようだ。 「お屋敷もすごく広くて、大広間で夫とダンスをした時は夢のようでした」  うっとりとしながら頬を染めるカロリーヌに、ジーノがどこか恥ずかしそうにモゾモゾと動いている。どうやらカロリーヌが招待されたのはジーノと結婚した後のようだ。アシェルがなんとなく頭の中で時系列をまとめていれば、メリッサはその別荘を想像しているのか、カロリーヌよりもうっとりとしている。

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