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第188話

「……時は変えられなくても、いつかは僕の歳なんて超えられるだろう。ルイはとても強いから」  危険が伴う連隊長ではあるが、彼は生き残るだけの強さがある。小さく笑みを浮かべた時、ギュッ、と抱きしめる腕の力が強まった。 「仮にそうであったとしても、それはずっと先です。その時には私もヨボヨボのおじいちゃんになっていることでしょう。それまで待っていては遅すぎる」 「そんなこ――んぅッ」  それは言わせない、とばかりにルイはアシェルの唇を己のそれで塞いだ。突然のことに大きく目を見開いて固まってしまったアシェルの僅かに開いた唇から舌を潜り込ませて、ヌルリと彼の舌に絡ませる。 「ん、んんっ」  ちゅ、くちゅ、と水音を響かせながら舌で口内を愛撫していれば、口づけに慣れていないのだろうアシェルはギュッと瞼を閉じてルイの胸元をトントンと叩く。それに小さく微笑んで、ようやくルイは唇を離した。 「ハッ――、はぁッ……」  胸を押さえながら呼吸を荒げるアシェルの髪を撫でながら、ルイは己の胸に身を預けるその姿を愛しげに見つめた。  絶対に、諦めはしない。彼も、彼との未来も。

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