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第86話 銀狐、目合う 其の八 ※

「──とはいえ……」    白霆(はくてい)が笑みを顔に貼り付けながら、眠衣(ねむりぎぬ)を掴んでいた(こう)の手をやんわりと掴んで外すと、そっと敷包布の上に置いた。   「密通を疑われていたのは心外、ですねぇ」 「……っ、白霆……済まない。そんなつもりじゃ……」 「少しばかりお仕置きです、晧」 「え」    有無を言わせない動作で、晧の裏腿を掴んだかと思うと、ぐっと広げながら前に倒す。浮いた晧の腰と敷包布の隙間に、白霆が身体を滑り込ませて支えにする。気付けば晧は、仰向けのまま腰を高く上げて、まるで身体が二つ折りになるかのような体勢となっていた。   「──っ、はくて……っ、これ……っ!」 「ええ、全部私に丸見えです。この綺麗な花芯の筋も、愛らしくてまあるいふぐりも、まだ固い蕾のままのこの後蕾(こうらい)も」 「はくて……っ! この体勢いや、だ……っ、あ……」    くすくすと笑う白霆の熱い吐息が、ふぐりに後蕾に当たる。それだけでもう、ぞくぞくとした官能が背筋を駆け上がっていく。   「嫌? 私の邪魔をしないようにしているのか……それとも私を受け入れようとしてくれているのか。貴方の尻尾が上がってますよ、晧」 「あ……あ……」 「どうか見ていて下さい。私が貴方の後蕾(ここ)を愛でるところを。貴方の後蕾(ここ)が私を欲しいと言わんばかりに、ひくつくところを」    これ見よがしに白霆が長い竜の舌を出した。  今からその舌が何をするのか、想像が出来てしまって晧は弱々しく頭を振る。だが身体はすでに期待に震えて、花芯もまた兆し始めていた。  竜の舌はまるでゆっくりと味わうかのように、後蕾の襞をまあるく舐める。力を入れて硬くした舌先が襞のひとつひとつを丁寧に舐めれば、それだけで後蕾の窄みに白霆の唾液が溜まっていくのが分かった。その一筋が会陰を通り、花芯の筋へと流れて行く感触ですら感じ入ってしまう。  後蕾に溜まった唾液は、窄みの無意識のひくつきによって、まるで喜んでその口を開けて飲み込んでいるかのようだった。   「……ひっ」    ほんの少し胎内(なか)に唾液が入るだけで、じんと身体が熱くなり尾骶が疼く。   (……そういえば……)    真竜の唾液には僅かだが、媚薬の効果がある。  微量を胎内に取り込んだだけで、こんなに身体が疼くというのに。   「──あっ……」     柔らかく動く舌先が執拗に蕾の表面を往復し、硬く閉ざされたそこを割り開いた。小刻みに浅い部分の挿入を繰り返しながら、確実にゆっくりと胎内へと入っていく。  

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