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第87話 銀狐、目合う 其の九 ※

「ああっ……!」    媚肉の隧道を掻き分けるようにして、熱い舌が胎内を進む。やがて長さの届く限界まで入り込んだ舌が、胎内を拡げるかのように小刻みに動き出した。  堪らないのが(こう)だった。  舌から染み出した竜の唾液を胎内に塗り付けられて、じんじんと尾骶が痛む。更に熱くなっていく身体に、自分でも信じられない程の甘い艶声と吐息が洩れる。  本来ならば性急に竜の舌を入れられて、苦痛しかないはずのその場所は、唾液に含まれている神気と、体液の催淫の効果によって、じわじわと灼かれていくかのような、快感を生み出していた。  晧の花芯が再び熱を孕んで、ゆるりと(もた)げ始める。   「あ……っあ……やめ……っ」 『痛く、ないですか?』    じっくり、ゆっくりと。  熱い舌が、じゅくと淫らな音を立てて、蕾の中を掻き回す。唾液を媚肉に染み込ませるかのように。     「んんっ……あっ、ああ……っ、きもち……はくて……!」    晧の言葉を聞いた白霆(はくてい)の舌の動きが、少しずつ大胆なものに変化していった。舌はぐうるりと大きく円を描いて、晧の胎内を拡げていく。  どれくらいそうされていただろう。   「はぁ……、あっ、ん……! んんっ……」    媚肉の隧道は蕩けるかのように(こな)れて、すっかりと柔らかくなっていた。悦楽を知った媚肉は悦んで蠕動し、舌を奥へ奥へと引き入れようとする。舌を動かされる度に後蕾が、じゅぶじゅぶと竜の唾液によって鄙陋な音を立てた。  時折舌が腹側にある快楽の凝りを掠めれば、晧の身体は陸に打ち上げられた若魚のように、びくびくと跳ねる。花芯はすっかり勃ち上がり、再び蜜を零していた。  まさに頃合だった。   「あ……っ!」    じゅぽと卑猥な音を立てて、白霆の竜の舌が抜かれる。後蕾は白霆の舌の形のまま口を開けていたかと思うと、晧の艶やかな息遣いに合わせて淫靡にひくついた。  その様子をじっと見ていた白霆が、荒々しい息をつきながらも、晧の腰を優しく敷包布に降ろす。   「晧」    名前を呼びながら着ていた眠衣(ねむりぎぬ)は脱ぎ落とす白霆に、晧は息を呑んだ。    

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