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第95話 銀狐、目合う 其の十七 ※

 まさに愛でているのだと言わんばかりの手付きで、白霆(はくてい)の指が尻尾の付け根を揉み込む。  同時に雄蕊(ゆうずい)の先端が、幾度も幾度も結腸の弁蕾に接吻を繰り返せば、腹の疼きが更に増した。  固く閉ざされていたはずの弁蕾が、尻尾の付け根にある性感帯と、弁蕾そのものを雄蕊に刺激されたことによって、ゆっくりとだが確実にその蕾を開いていく。    ──今度は……この奥の奥にある、貴方の子袋で達して。    不意に先程の白霆の言葉を思い出した、その須臾(しゅゆ)。   「晧……弁蕾(ここ)に入れて下さい。まずはここで私の熱を受け止めて……(こう)」 「……あ……っ」 「晧……感じて。私の熱を……っ!」    膨らんだ雄蕊の先端が、少しずつ結腸の弁蕾に入り込んだ。  やがて、ぐぽ……っと鄙猥な音を立てて。  白霆の雄蕊が弁蕾を貫く。   「──っあ、っあぁぁぁ……っ──!」 「……っ、晧……っ!」    硬く太いもので抉じ開けられて、先端が結腸の蕾とその更に奥を突き刺す感覚に、晧は背をしならせながら淫声を上げた。  考える力を奪い去っていく凄まじい快楽の波に、晧の花芯からは、どぷりと白濁の熱が溢れて敷包布に落ちる。  それに追い討ちを掛けるかのように、白霆が弁蕾の奥の強い締め付けに促されるがままに、身を震わせて熱を放った。   「──ひう、っ……あ、あぁあっ……──!」    胎内を灼くのは灼熱の奔流であり、濃厚な媚薬でもある神気の精だ。まだ冷めていない先程の強烈な快楽の上に、より濃密な悦楽が押し寄せて、晧は再度絶頂に導かれ達する。  その刹那。  ぶわりと晧の身体から春花にも似た甘い香りが解き放たれた。それはまさに晧が『白霆』という真竜に縛られ、『白霆』の所有となった証……『真竜の御手付(みてつ)き』の香りだった。  法悦の波に呑まれながらも晧は、自分の内側から感じる甘い濃香を自覚した。だがそれ以上に自分の胎内を灼く熱の、春の野原の草花にも似た瑞々しくも甘い神気の香りが、自分自身を包み込んでいることに気付く。   (……ああ)    俺は、お前のものになったのか。  好いている者に愛されて支配されるというのは、こんなにも悦びを感じて幸せで愛しいものだったのか。   (それならもっと早く)    お前のものになれば良かった。  そんなことを思うだけで『御手付き』の香りは、より濃さを増していく。   

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