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第1話
普通の家というのは同じ苗字を名乗り、父親と母親と子供、そこにじいちゃんやばあちゃんがいる場合もあるらしいが、おれ……犬養兼輔の場合は違った。
父親と母親の苗字が違い、おれは父親と同じ犬養、母親は海野で、普段は母親とふたりで暮らしていた。
父親はたまに来て、3人で母親の作った飯を食べたり町の外に連れて行ってくれたりして、家族としての時間を過ごしていた……様だ。
というのはおれがガキの頃の記憶がほとんどなく、写真や映像を見る限りの情報だからだ。
おれの一番古いと思われる記憶にあるのは、父親は弟だという男の子と一緒に来て、おれがその子の遊び相手になった、というもので、写真を見る限りそれはおれが小学生の頃からの様だった。
おれは小5くらいまでの記憶がどこかあやふやで、それは、おれがガキの頃、父親から受け継いでしまったチカラに目覚めてしまったせいだと父親に言われた。
おれが目覚めてしまったチカラ。
それは、
これから死ぬ人間が分かる。
というものだった。
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