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第11話

「かんぱーい!!!」 それは、成人して初めて音椰とふたりで酒を呑んだ時の事だった。 音椰が成人のお祝いに買ってきたというワイン。 それを一緒に飲みたいと誘われ、おれは音椰の家に来ていた。 音椰の両親は夫婦で旅行に出かけた、という事で不在だった。 「わぁ、ブドウの味がして甘くて美味しい!!店員さんが言ってたとおりだ!!!」 「……国産のワインなんだな」 おれはボトルに貼られたラベルを見ていた。 おれたちの住んでる場所よりも北側にある町で作られたスパークリングワインは、一口目に甘いブドウの味がした後で後味がすっきりした味に感じられた。 「もう1本、同じワイナリーで作られた赤ワインも買ってきたから、そっちも美味しいといいなぁ」 音椰は酒の耐性が強いのか、おれよりも早いペースでワインを飲んでいた。 おれはというと、美味しいとは思うのだが呑んでいくうちに眠気に襲われた。 「……でさ、今度そこに兼ちゃんと行きたいなぁって思ったんだけど、いい?」 音椰が話しているのにウトウトしてしまい、所々言葉が聞き取れなくなったおれを、 「兼ちゃん、眠そうだね。目がとろんとしててすごく可愛い……」 このまま寝ちゃってもいいよ。 と言って抱き上げる。 見た目はおれと同じような細身に見えるのに、おれを軽々と抱き上げた腕も、顔に触れた胸も厚くて、柔道で鍛えられた身体だと思った。 「ね、兼ちゃん。兼ちゃんって絆結の儀がどんなものなのか知っててしたの?」 「ん……いや……知らねぇ……」 「……そうなんだ……」 これは、夢か? 目の前がぼんやりして、音椰が聞いてきた事が現実なのか分からない。 それから。 おれは酔っ払って寝てしまったからか、変な夢を見た。

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