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第6話 女人化1日目の実習

駐車場に着くと、ターニャ先生、フレム、リュウレイが待っていた。 車から降りて朝の挨拶をする。 「想像以上に可愛いわ…!アイドル並みよ…!」 ターニャ先生が驚きの表情をみせる。 今日のターニャ先生はいつもの露出系の服装だった。 胸の谷間に、太ももまでスリットが入ったロングスカート。 普段見慣れていたつもりだか、いざ自分が女になってみると、あんな服装では絶対恥ずかしくて外に出られない。 同じ女でもやっぱり違うんだな、と思った。 「確かに、ロキらしさも残しつつ、よくそこまで女らしくなれるものですね…。」 リュウレイも感心している。 「………………。」 フレムは黙っている。 「フレム?」 リュウレイがフレムに話かけた。 「あ、いや、ホント可愛いよ…。」 フレムがたじたじとした様子で言った。 皆の可愛いコールに赤面していると、ラムズが口を開いた。 「ターニャ先生、昨日の様子は電子報告で送った通りです。私はこれから研究所に行きますので、ロキをよろしくお願いします。じゃあ、ロキ、今日もがんばってね。」 ラムズはほほえみかけながら、ロキの背中に軽く触れた。 ♢♢♢ 4人は教室へ向かった。 「ラムズ理事…余計なスキンシップ多くない?」 フレムが言った。 「ロキに対してはいつも通りじゃないですか?」 「いつもは男だからいいけど、今は女なんだからさ、気をつけなきゃいけないと思うんだよ。ロキは優しいっていうか流されやすいから、嫌なら嫌って言わないとダメだと思うよ。」 なぜかフレムがピリピリしている。 「まあ、そもそも、そんなに触られてないよ。あ、あのさ、それより短パン貸してくれない?スカートが短かくて落ち着かないんだよ。」 そう言われて、フレムはカバンから短パンを取り出して渡した。 「俺もそのスカートの長さはけしからんと思うよ!なんか誘惑してるっていうか…!それ、まさかラムズ理事の好みじゃないよね??」 フレムはさらに膨れた。 「服はターニャ先生が用意しましたよ。大魔女の末裔ターニャ先生のモットーは『自分のあるがままこそ最大の魔力』!だから露出高めで自分の体の美しさを表現し、魔力を高く維持しているらしいです。」 女の子1日目のロキにはハードルが高すぎた。 「なんにせよ!ラムズ理事だからって油断しちゃダメだよ!今ロキは女の子なんだからね!」 フレムは娘がいるお父さんみたいに言った。 ♢♢♢ 実戦演習時間になり、戦闘服に着替えた。 今回の演習用クリーチャーは樹木型でD級だ。 大木の根が足のように動き、枝を鞭のようにしならせて攻撃する。 いち早く飛び出したのはフレムで、剣撃を放ちながら間合いを詰める。 リュウレイは魔法を唱え、枝を凍らせて無力化した。 ロキもフレムとほぼ同時に飛び出すが、脚の筋力の差でなかなかフレムほど早く走れない。 枝のムチをキレイにかわしながら本体に近づく。 体が小さくて軽い分、避けるのは楽だ。 何発かレーザーガンを撃つ。 命中はするが、防御のための葉が邪魔をしてダメージが通りにくい。 フレムやリュウレイの攻撃を受けてもすぐに回復している。 ロキはクリーチャーをよく観察し、核を見抜いた。 どの生物にも核があり、そこに抵抗が少なくなるように攻撃を与えると一撃必殺ができる。 ロキは『真眼』が長けていて、実はこの一撃必殺が得意だった。 核の位置を掴んだ様子をリュウレイが察知し、核に近いところの葉を凍らせて砕いた。 剥き出しになった本体にレーザーガンを撃ち込もうとした時だった。 「ロキ!危ない!」 フレムが前に出て、枝のムチを斬り落とす。 「あ、ありがとう!」 そんなに今のムチ、危なかったかな…? チャンスを逃したような気もしたが、気を取り直してまた核を狙う。 すると、またフレムが前に来て、ロキをかばう。 こんなことが何回か続くうちに、結局リュウレイがとどめを刺した。 ♢♢♢ 「フレム、なんでロキの攻撃を邪魔したんですか?」 リュウレイがムッとした表情で言う。 「だって、危なかったんだよ。今の女の体であんなムチを受けたら傷が残っちゃうかもしれないだろ。」 「そうならないために、プロテクトの練習をしてるんじゃないですか。ロキはプロテクトの精度は一番ですよ。そんなに心配しなくても…。」 二人の雰囲気が悪くなってきた。 「あの、僕は、この体でこれくらい動けるのがわかって良かったよ。思ってたより胸が邪魔だね。攻撃をかわすときに胸の分をちゃんと計算に入れないと。」 「へえ。そういうもんなんですね。」 リュウレイはそう言ったが、フレムはなんだか気まずそうな顔をしている。 いつもなら戦闘の振り返りはフレムが積極的に話すのだが、今日は無口だ。 「そろそろ…戦闘の報告会に行かない?」 気まずさに耐えられず、ロキは促した。 リュウレイの言う通り、自分もいつも通り戦いたい。 別に、女の子でも強い子はたくさんいる。 自分さえ強ければ、こんな気を遣われなくてもいいのに…。 またまた凹んでしまった。

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