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第14話 覚醒

現場の生徒たちは、一般人を避難させ、スフィア型クリーチャーの球体から湧き出てくる赤い人間たちをレーザーガンや異能技で攻撃していた。 しぶとい上に数が多く、生徒だけでは一般人の保護が精一杯だ。 A級の教員が異能技で球体を攻撃するが、あまり効いていない。 長引けばクリーチャーから新たな攻撃が始まるかもしれない。 焦りは募るが手も足も出なかった。 ♢♢♢ 「ラムズ理事が到着しました!」 「道を開けろ!」 ラムズはバイクを降りた。 「ロキ、まずは自分の身を守るように。」 「…はい…。」 ラムズはレーザーソードではなく、刀を取り出して構えた。 ―神速斬撃《しんそくざんげき》― ラムズは一瞬で姿を消した。 そして次の瞬間には、敵が斬りつけられていた。 あの日も、この技でロキを助けてくれたのだ。 球体は真っ二つに切り裂かれ、大量の血しぶきと不快な断末魔の叫びがこだました。 赤い人間も溶け始めた。 「さすがラムズ理事…!」 周りから称賛と安堵のつぶやきが聞こえる。 しかし、ロキは割れた球体の中に、キラリと光るものを見た。 --ラムズを助けなくては!-- ロキの頭の中ではっきりと声が聞こえて、ロキは叫んだ。 「ラムズ理事!核はまだ壊れてません!」 ロキの声を聞き、ラムズは追撃をしようとしたが、大量の血しぶきがまとまって大きな一本の赤い手になり、ラムズの全身を掴んだ。 ラムズの体は赤い手にとりこまれ、クリーチャーの血の海に溺れそうになる。 ロキはレーザーソードを手に取った。 体が勝手に動く。 自分がなんという技を出したかは、覚えていない。 ロキの攻撃はクリーチャーの核をとらえた。 まばゆい光が辺り一体を包み込み、クリーチャーの血の海は、蒸発して消えていく。 技を使ったロキは、その場に倒れ込んだ。 「ロキ!」 血の海から脱出できたラムズはすぐにロキの元に駆け寄り、倒れたロキを抱きかかえた。 「まさか、あの技は…!前世を思い出したのか…⁈」 ロキは答えたかったが、全く体が動かない。 「ロキ!しっかりしろ!技にエネルギーを使い過ぎた!魂からエネルギーがどんどん抜けている!このままでは、死んでしまう…!」 ラムズの焦った表情を初めて見た。 僕は…自分が好きな人のことすらも…まだ何にも知らないんだな…。 それだけ思って、意識が途切れた。

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