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第19話 パートナー

さて、ツバサのエロ動画を手に入れたのはいいが、いつ見るかだ。 悲しいことに、俺は常に榊と一緒にいなくてはいけない運命にある。 榊は、鬼切丸という最強の武器と権力を持っているが、それと引き換えに人生を丸ごとこの仕事に捧げる契約をしている。 ただ、唯一の榊のわがままが、俺が常にそばにいることだった。 孤児院育ちの俺たちは、兄弟のように仲良く育ったが、まさかこんなことになるとは……つまり、エロ動画ひとつ見れないくらい、そばにいることになるとは思わなかった。 はあ、エロにふけられる程度には一人の時間がほしい……。 ちなみに、ツバサが好きかと言うとそれはちょっと違くて、可愛いアイドルみたいなもんだ。 できれば……カイの”いやいやシリーズ”がほしい。 だが、カイが榊のそばにいたら、そんな不埒なことはできない。 どうしたもんかな……。 ♢♢♢ カイとツバサは、寮では二人部屋だった。 あの日以降も変わらず過ごしているが、ツバサは、カイがなんとなくよそよそしいと感じていた。 今日は夜のパトロールの日だ。 カイは、また榊先輩にパートナーを頼んだが、煌が悪さをしないように見張らなくてはいけないから、と断られた。 二人は街に出た。 住宅地、公園、駐車場……と見回っていく。 「……今日は平和だね」 ツバサが言った。 「そうだね……」  カイが答えた。 「……カイ、なんか怒ってる?」 「え、いや、怒ってないよ」 「……なんか、最近、あんまり話してくれないから……」 「あ、うん……」 「何か……僕、気に障るようなことしたかな……?」 「そうじゃないんだけど……」 「……はっきり言ってよ……。僕は……カイと仲良く毎日を過ごしたいから……」 「え……あ、うん……その……」 カイは一瞬黙ったが、口を開いた。 「ツバサは……煌先輩と……エッチなことしたの?」 「え? してないよ」 「そ、そうなの?」 「するわけないじゃん。したら、榊先輩にみじん切りにされるよ」 ツバサは笑って言った。 「そ、そうなんだ! 二人で空き家から出て来たからてっきり……」 「まさかぁ。あれ、もしかして、カイは知らないの? 榊先輩が煌先輩を大好きすぎて、国家権力使ってパートナー契約してること」 「ええ?! 知らなかった!」 「噂によるとね、榊先輩、あんなに強いのに受けなんだって。だから煌先輩が来るのを待ってるんだけど、煌先輩はなんか榊先輩はそういう対象じゃないみたいで、ずっと平行線らしいよ」 「へ、へぇ……複雑な事情があるんだね……」 「なんだ、そんなこと気にしてたんだ。……それって……僕が他の人とイチャイチャしてたら、嫌ってこと……?」 「え、あ、いや……。宇宙人相手ならまだ……いいけど、身近な先輩が相手だと、生々しいなって……」 「……そう……なんだ……」 もしかして、カイも自分のことが好きなんじゃないか……と淡い期待を抱いたツバサは少しガッカリした。 そんな話をしていると、道路に倒れている人がいるのを発見した。

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