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第21話 少年時代
「俺はもう一度動画を見て、撮影してる会社を突き止めるよ」
煌が言った。
「じゃあ俺も一緒に、まずは動画チェックする」
榊が言った。
「いや! 榊は変わらず街で捜査を続けていてくれ。万が一、カイの格好で売春なんかされてたら大変だから」
「それはそうだけど……。じゃあ動画は他の奴にやらせるよ。パトロールはやっぱり一緒じゃないと……」
「ダメダメダメ! 他の奴じゃ、本物のカイに興味持つかもしれないじゃん! だからって、ツバサにやらせたら健全な青少年の育成に支障が出るでしょ! だから俺なの!」
煌は力説した。
「そう……じゃあ、煌だって健全な青年なんだから、任務と私的な感情が混ざらないように気をつけないとね」
「うんうん。そんなのわきまえまくってるよ。俺を信じて任せなさいって」
♢♢♢
煌は視聴室に行き、動画チェックのためのセッティングを完了させた。
こんな堂々と一人でエロ動画を見れる日が来るなんて、涙が出る。
いよいよ再生……というときに、ドアがノックされた。
開けると、榊がいた。
「な、何か用?」
「良かった、まだ始まってなくて。これ、着けて」
榊が手にしていたのは、男性用の貞操帯だった。
「ダ、ダメでしょコレ! 人権侵害!」
「捜査だし、しかも後輩に関わることなんだから、煌も真剣にやらないと」
「真剣に決まってるでしょ! でもほら、生理現象は仕方ないことだからそこまでしなくてもいいじゃん、っていう……」
「俺は、煌が動画を見て、少しでも反応してると思うと嫌なんだよ……」
榊は部屋に入り、ドアの鍵を閉めた。
ヤバい。
力づくで装着させられる。
そんな状態で動画を見るのとか、本当に拷問だ。
たしかに、ベストオブベストは、本物のカイの『クラゲ星人となかよし♡』動画だが、このエセカイ動画もなかなか捨てがたいことに気づいたのだ。
ちょっとヒドいシチュエーションだと、さすがに本物のカイでは可哀想だが、エセカイなら罪悪感なく視れる。
そんな時にそんなもんつけられるか!!
煌は榊をいきなり抱きしめて、壁際に押し付けて榊にキスをした。
榊も驚いたようだが、貞操帯を床に落とし、煌の背中に手を回した。
「俺が、お前以外に興味を持つわけないじゃないか……」
煌はそんな甘い言葉で榊を丸め込む作戦に出た。
「……煌は、少年じゃないと興奮しないでしょ……?」
バレてた……。
たしかにストライクは少年だ。
榊とは同世代で、物心ついたときから一緒にいた。
子どもの頃の榊は可愛かった。
小さくて丸くて柔らかくて、何をやっても二人でいれば楽しかった。
子どもの頃の煌は、二人で寝る時に榊のアレをもみもみしながら寝るという妙な習慣ができていた。
大きくなるにつれ「それ、やめた方がいいな」という感性にしたがってやめた。
ところが逆に榊は「なんで触ってこないんだろう」という気持ちになっていた。
つまり、煌は大人になっていく榊に欲情しなくなり、それと反比例して、榊は煌と恋愛関係になりたいと望み始めたのだ。
同年代だったから、ち◯ち◯もみもみ程度で済んだが、もし自分が大人で、榊の子ども時代に遭遇していたらもはや犯罪者になっていただろう。
「あのね、違うの。榊があんまりかっこよく強くなっちゃったから、俺は気後れしてるの。いつかは俺も堂々と榊のパートナーです!って言いたいと思ってるよ」
「……そうなんだ……。今でも充分なのに……」
「もう少し、俺が自信持てたらね。あ、ごめん、榊にくっついたら俺のアレも元気になってしまったから、ちょっとソレはもう着けられないかな……」
榊の手を取り、触らせて確かめさせた。
「わかったよ……。でも、カイのこと、好きになったりしないでね」
「うん。それとこれとは別だから、大丈夫」
それを確認して、榊は部屋を出て行った。
榊が今、少年だったら最高なのに……。
黒づくめの男たちがどこかにいないかと願う煌だった。
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