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第23話
彼が本当に自分が好きなようにしているのかは僕には分からなかった。
そもそも挿入を含むセックスってやつをしたことがずっとなかったから、どういうセックスが普通なのかもよく分からない。
それに宗吾さんの言っていた通り前の主の好みは普通とはいいがたいのかもしれない。
多分、体を拓かれる感覚は好きだ。
それは、この人だからというものではない気はするけれど、先端が挿入されただけで体が喜んでいる。
それも他の人としたことが無いから本当なのかもわからない。
「あっ、あ、はッ、……」
中が切先に吸い付く様にうねる。
食欲は満たされている。別に精液はいらない筈なのに、もっと、もっとと思っている。
これは食欲だろうか、性欲だろうか。
それとも、サキュバスとしての本能だろうか。
これが気持ちいいものだって、もう体が知っている。
中を、とんとんと突いて欲しい。
固くて熱いのでゴリゴリして欲しい。
それから、びゅるびゅるとだらしなく精液をまき散らしたい。
一緒に乳首を虐めて欲しい。
音が出るくらい激しく中をこすって欲しい。
精液を塗りこめて欲しい。
もっと、きもちくして欲しい。
これはセックスが好きって事なのかな。
「宗吾さんは気持ちいいですか?」
僕の気持ちは多分顔に出てしまっている。
とろけてだらしなくなった顔を多分晒している。
宗吾さんはそれでも萎えないので、支配欲というのはそういうのも含めたものなのかもしれない。
支配欲というものが何なのかも本当のところよくわかっていない。
ゆっくりと宗吾さんの起立が根元まで沈む。
それから宗吾さんは僕の耳元で「気持ちいいよ」と呟く。
もしかしたら、初めて聞いた声色だった気がする。
いつもの静かな印象の声と少し違った。
それが作った声色で無いと思いたい。
宗吾さんがどんなつもりで僕を買ったのか、僕にはよく分からないけれど、いま僕と同じように興奮していることだけは事実なのだと思いたい。
口が閉じられない。
宗吾さんの腰が動くたびに、だらしなく喘ぎ声が出てしまう。
快感を追う事に夢中で涎が口の端から垂れてしまう。
一番深くまで陰茎を飲み込む瞬間、宗吾さんの陰毛が肌に触れるのがたまらない。
ふうふうと落ち着かない息を吐きだすと、宗吾さんに唇を舐められる。
彼の唾液が甘い。
甘くて、頭が痺れる。
それなのに、もっと欲しくなって舌を突き出す。
腰を打ちつけながら宗吾さんは僕の舌を舐る。
甘い。
お菓子なんかよりずっと甘い。
宗吾さんは器用に僕に唾液を流し込む。
ゴクリと飲み込むと喉まで痺れる様な気がした。
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