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第54話

宗吾さんの手が尻のあわいに触れてすぐに、貫かれる。 飢えの感覚は今はまるでない。 だから、食事ができる事への喜びは感じられない。 あるのは、ただ激しい快楽だけだ。 シーツをかきむしって、その快楽を逃そうとするのに上手くできない。 僕のその動作に宗吾さんは僕の肩に手を当ててベッドに押さえつける。 そのままのしかかった宗吾さんの吐息が耳の後ろに当たる。 その感触でさえ、気持ちいい。 達したばかりの中がうねっているのが自分でも分かる。 それなのに、宗吾さんの昂りに悦こんでいることも分かる。 「俺はね、セックス結構好きなんだよ」 耳元で宗吾さんが囁く。 それだけで、体が震える。 それは恐怖からじゃなくて、純粋な官能からくる震えで、僕はまずいと思った。 逃げようとする僕を押さえつけて、宗吾さんが抽挿を始める。 自分の口から媚びる様な声が上がっている。 お腹がへっているからじゃなくても、宗吾さんに媚びる様な声をあげて体が悦んでいる。 「ここ、ゴリゴリされるの好きだよね」 入口の浅い部分を切先でぐりぐりとされる。 「あっ、あ゛、あッ……」 もう口から出る言葉は意味をなさなくて、口の端からよだれが零れ落ちる。 いつものセックスより少し乱暴で、それからもっとずっとしつこい。 徹底的に僕に快楽を教え込む様なそんな感じだ。 これが、宗吾さんのしたかったことなのか。 頭の片隅でそう思うけれど、そんな事を全部塗りつぶす様な快楽に思考が飲み込まれて行ってしまう。 「やらっ、……それ、もう、あ、あっ、あん、あ゛……」 「じゃあ、奥も気持ちよくなろうか」 やっと、その部分を集中的に責められるのをやめてもらえたと思ったら、今度は最奥をこつこつと突かれる。 「こっちも、好きだもんねえ」 宗吾さんの言う好きという言葉にビクリと震える。 そこが好きだと言ったことは一度も無い。 自分でだってそんな事考えたことが無かった。 それなのに、分かってる風に宗吾さんは言う。 「この奥の部分、トントンされると、顔とろけちゃうんだよ」 うっとりと宗吾さんが言う。 分からない。僕にはそんな事分からないけれど、自分の嬌声が一段と高くなる。 「知ってる? 淫魔にもね、この奥結腸があるんだよ」 人間はそこがすごい気持ちいいって言うけど君はどうだろうね。 宗吾さんが僕に訊ねる様に言った。 だけど、僕にはもう分かる。 僕がなんて言おうと、彼は僕のそこを開発するつもりなのだと。 押さえつけられたままの挿入の為、僕の陰茎はシーツにこすりつけられている。 そこからカウパーがもれてシーツも陰茎もヌルヌルになっている。 その感覚と中を宗吾さんにぐちゃぐちゃにされる感覚、それだけで僕はいっぱいなのに、もっとしようと宗吾さんは言っている。 快楽に涙が滲む。 視界がぼやけた様になるけれど、そのまま僕は宗吾さんの方に振り向いた。

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