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第72話
「よいしょ」と言いながら宗吾さんは僕の体を先程みたいに、座り込んで抱き合う形に起こした。
お尻の部分に宗吾さんの昂りが触れる。
宗吾さんはベッドに手をついた状態で僕に「自分で入れてみて」と言った。
一瞬、どういう意味で言っているのかが分からなかったけれど、すぐに、このまま中に自分で入れてみせろという事だと分かった。
彼は僕を見て浅い笑顔を浮かべるばかりで、宗吾さんからは入れてくれそうにない。
今まで彼のものを舐める以外はほとんど宗吾さんがリードしてくれていた。
こんなことは初めてだ。
宗吾さんの起立は先走りと僕の唾液でぬるぬるになっている。
彼の陰茎に手をふれると、熱くて、体の内側が渇いている様に錯覚してしまう。
ゴクリと唾を飲み込む。
それから、自分の後孔に宗吾さんの陰茎をあてがう。
そこがもの欲しげにうねっているのが自分でもよく分かった。
多分、宗吾さんも気が付いている。だけど彼からは動こうとしない。
ずぶずぶと宗吾さんの切先が中に入り込む。
中を暴かれる感覚はいつまでたっても慣れない。
けれど、それを上回る快楽に思わず、「は、ぅんっ」と声をあげてしまう。
まだ途中までしか入っていないのに、自分の快楽を追ってしまう。
宗吾さんは、今日まだ一回も達していない。
僕ばかり快楽を得ていないで、彼にも気持ちよくなって欲しい。
そのまま自分の体重をかけて、宗吾さんを中に沈めていく。
一瞬息、が詰まる。
僕の中が熱く熟れて、じゅぶじゅぶと体液がこぼれだしているのが分かる。
中を擦れるだけで、達してしまいそうになってこらえる。
甲高い嬌声をあげながら、宗吾さんに抱き着く。
体中が悦んでいる。
「気持ち、いいですか……?」
僕が気持ちいいだけの行為じゃダメだと思った。
二人で気持ちよくなりたかった。
目の前の大好きな人と、一緒に。
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