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第1話
僕の叔父さんはしょうもない。
35歳になるのに、ぜんぜん現実的じゃない。
おじさんは、ギター講師をしている。しかも自分が住んでるアパートの一室で。
自分の家を教室にしてマンツーマンで教えるなんて、怪しすぎる。
その証拠に生徒の数は少ないから、生活が厳しくたまに僕の母さんにお金を借りにくる。
母さんは渋々お金を貸してやる。
おじさんが住んでいるアパートの一階にはカフェが入っていて、夜にはライブハウスになる。
だから、夜になるとピアスだらけな人やタトゥーだらけで怖そうな人たちがうろうろしている。
「他で教室借りた方が良いんじゃない?」と言ったら、これが一番金かからなくていいんだ。っておじさんは笑っていた。
仕事については、百歩譲って良いとして私生活もだらしない。タバコは1日に何本も吸うし、生徒も女の人が多い。
本当にギターを教えているのか怪しいもんだ。
考えながらおじさんの部屋へ向かうのに階段を登ると、ギターケースを持ったにこやかな顔のおばさんとすれ違った。
、、、。女たらしめ。
階段を曲がるとおじさんが、玄関から顔を出している。
「あおとー。今日はどうだった?」
僕は碧斗。17歳。
このくたびれたおじさんの甥だ。
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