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19悪い子

「オウガは昔からなんっか世話したくなる、そんなところがあるよな」 「僕が?」 「そうそう飯作って食わせてる時とか、ちまちま食ってるから可愛かったぜ」 「へぇ、そうだったんだ。今の僕は?」 「カッコ良くなりやがったのに、昔みたいに可愛いままだよ」 「ふふっ、良かった」  そうして俺たちが夜の道を歩いていた時だった、いきなり馬車が歩道にはみ出して俺たち目掛けて突っ込んできた。俺もオウガもアーツで足に力をこめて、軽くその馬車を飛び越えた。そうしたら街の壁にその馬車は突っ込んでいった、やじうまや救急隊と警備隊もやって来て俺たちは話を聞かれたが、何が何だかさっぱり分からなかった。翌日ハンターギルドで俺たちの担当弁護士、スーソルさんから話を聞くことになった。 「チェスト家の馬車です、オウガさんへの嫌がらせです」 「そのチェスト家がどうしてオウガに?」 「僕にも心当たりが無いのですが……」 「テア・ノーフリル・チェストと言えば分かりますか?」 「あっ、オウガに振られた女の子!?」 「また女性ですか、僕は女性不信になりそうです」 「下手をすればお二人は死んでいましたから、たっぷりと慰謝料をとってきます。向こうもそれで反省してくれるといいんですけどね、チェスト家は男爵家でそんなにお金は無いから大丈夫でしょう」 「オウガ、お前ほんっと女運悪いな」 「もう、僕はロンさえいれば良いよ」  その後は俺とオウガは八つ当たりか復讐を心配していたが、テアという女の子をハンターギルドで見ることはなくなった。噂では家でかなり怒られて花嫁修業をしているそうだ、彼女の取り巻きだった女の子たちは普通にハンターギルドに通っていた。オウガほどではないが、俺も女性不信になりそうだった。エフィだけが俺たちが襲われたという噂を聞いて凄く心配してくれて、俺たちに本当に無事で良かったと言ってくれた。 「俺たちの癒しはエフィだけだな」 「信用できる女性が他にいないもんね」 「やっぱりオウガの女運が悪すぎる」 「普通くらいにして貰いたいなぁ」 「おっ、アビスが七体の依頼だ。受けるか?」 「うん、受けよう。今は暴れたい気分だ」  そうして俺たちは三時間ほどかかる村に行った、そうしたらもう村は壊滅していて、腐臭がする遺体しか残されていなかった。だからどこからアビスが現れるかも分からないので、見通しの良い海辺でアビスの出現を待った、でも白い霧がかかっていてあまり視界は良くなかった。そうしたら七体のアビスが現れた、俺とオウガは手早く七体のアビスを片付けた。 「ロン!?」 「畜生、もう一体!! 隠れていやがったか!?」  でも八体目のアビスがいて俺に飛びかかってきてしがみついた、アビスと戦う時には遠距離・中距離・近距離の順で片付けるのが安全だ。至近距離でこうやって跳びかかられるとアビスの力は強いし、その顎は腕の肉くらい簡単に食いちぎる。俺は左手でアビスの頭を押さえてアーツをナイフに変え、右手でどうにかそのアビスの頭に突き刺した。 「大丈夫、ロン!?」 「ああ、ちょっと爪痕をつけられたくらいで済んだ、でもアビスの数が違うってことはまた報告数が嘘なのかもしれないぜ」 「くそっ!? 村人は死んじゃってて、確かめようが無いね」 「他にもアビスがいるかもしれない、朝まで油断せずにいこうぜ」 「ああ、また来たよ!! 七体だね」 「視界が悪いから、注意しろよ、オウガ」  結局俺たちは十五体のアビスを片付けた、そうして帰って村が壊滅していることをハンターギルドで報告した。アビスを倒して残る黒石だけが今回の収入だった、俺たちは家に帰って俺はアビスの爪痕をオウガに薬で消毒してもらった、毒を持つアビスがいるという報告は今のところ無かった。オウガは俺の傷の消毒を丁寧にしながら、オウガらしい理由で凄く怒っていた。 「もうロンに爪痕をつけて良いのは僕だけなのに!!」 「はははっ、オウガらしいな」 「笑いごとじゃないよ、ロン。もうそうしてみようと思ってたのに、怪我人相手じゃ延期だよ」 「えっと、それってオウガをマジで抱くってこと?」 「そうだよ、駄目? できそうにない?」 「いや、最近はお前で興奮できるようになったし、多分だが大丈夫だと思うぜ」  オウガはそれを聞いて嬉しそうに笑った後、ますます爪痕をつけたアビスが憎いと言っていた。最近の俺はオウガの裸でも十分に性的に興奮できていたから、オウガを性的に抱くのは大丈夫そうだった。でもなんだか悪いことをしている気になるのは、きっと俺が子どもの頃のオウガを知っているからだ、それで子どもに悪戯をするような悪い気分になるのだった。 「オウガはもう十分に大人なのにな」 「……ロンからは子どもに見えるの?」 「いや、昔のお前のことをよく知ってるから、なんか子どもに悪戯するような悪い気分になるだけだ」 「僕は十分に大人でしょ、消毒も終わった。ロン、いつもどおりにして」 「オウガは俺を誘惑するような、随分と悪い子になったな」 「そうだよ、僕は悪い子だよ。だから、悪戯してもいいよ」  俺とオウガはベッドに二人で笑いながら倒れ込んだ、そしていつものようにオウガのものを愛撫してキスをし合った。オウガは俺のものを舐めてからくわえて射精させた、精液を飲むなよと言ったら悪い子だから良いのと答えられた。俺もオウガのものを口で愛撫してやったが、オウガ可愛い声を出すから何度もそうしてやった。お互いが満足するまで愛し合ったら、俺たちは一緒に風呂に入った。 「ロン、傷が治ったら僕のこと抱いてよ」 「分かったよ、楽しみにしてる」 「うわぁ、ロンにそう言われるなんて感動だ」 「最近のオウガは色っぽいからな、俺の楽しみにもなるんだ」 「母親は大嫌いだけど、僕は母親似で良かった」 「確かに父親のダリルに似てたら、俺もちょっと無理だな」  そうしてその日はお休みのキスをしていつもどおりに眠った、夢の中には幼い頃のオウガが出てきた。今と変わらずに可愛かったから抱き上げたら、大人のオウガに変わって押し倒された、そうして俺は夢の中でもオウガにキスされた。翌朝起きたら今のオウガからも深いキスをされた、俺はオウガを抱きしめて深いキスをしかえした。 「ロン、大好き!!」 「俺もオウガが好きだ」 「うわぁ、ロンを押し倒したいよ」 「もう朝だぞ、朝食を食べよう」 「でも僕は悪い子だから、ロンを押し倒しちゃう」 「こらっ、オウガ」  昨日射精は十分にしていたから、俺たちはお互いにキスをして、俺はオウガの体中にキスをしてやった。オウガが跡をつけてというから、キスマークも首元あたりにいくつかつけてやった。そうしたらオウガは朝食の後、いつものきっちりした服じゃなくて、わざとキスマークが見えるような服を選んでハンターギルドに行くと言いだした。俺はオウガのその行動に苦笑しながら、また変な噂が流れなきゃいいけどと思っていた。 「僕は悪い子だもん、いいよね? ロン?」 「あんまり人に見せるなと言いたいところだが、オウガは悪い子だもんな」 「そう牽制にもなるしね、僕を狙ってる奴らがこれで諦めるといいけど」 「まぁ、大人しい奴ならキスマークがついてる相手を狙ったりしないだろうな」 「ロン、毎日僕にキスマークつけてもいいよ」 「俺はオウガの肌をあんまり他の奴に見せたくないんだよ」  オウガは白っぽい金髪で肌も白かった、俺と同じだけ海で日に当たっているはずなのに日焼けしなかった。代わりにあまり日に当たると肌が赤くなって薬が必要だった、そんなオウガの肌ははっきり言って色っぽかった、だから俺はあまり他の奴らに見せたくなかったのだ。オウガはそれを聞いて嬉しそうに笑った、それから悪戯っ子のように言った。 「ロンにヤキモチをやかれるっていうのも、僕は凄く嬉しくて楽しい!!」

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