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第15話 鳥かご世界 R18/尿道責め
大好きなジャスミンの香りで、僕は覚醒した。
まぶたを持ち上げると、ベルベットの天蓋が頭上にあった。体の感覚に異常はない。
「……拘束もなしに、賓客用の個室?なんだっていうんだよ」
はるか昔の記憶ではあるが、ここは間違いなく王城の一室だ。細かな意匠こそ変わったが、この手の建築様式には覚えがある。それに灰簾なら、まずここへ連れて来るだろうことは容易に想像できた。
だが、こんなにちゃんと『おもてなし』してくれるとは思っていなかった。
せいぜい次に目覚める時は地下牢あたりかと、眠りに落ちる前に覚悟していたのに。
「ふああー……」
よく寝た。久々に上等なベッドで眠り明かしたおかげか、体調も良好だ。
頭をかきながら寝癖を整えていると、音もなく一つのドアが開いた。
「ご主人様…!」
顔を出したのは、アーリスだ。続いてそれを押しのけるようにして、ヴィルが入ってくる。
二人共新しい執事服を身に着けていて、顔色も良い。
「おはよう。僕ってどれくらい寝てた?」
「半日くらいです。……今、水を持ってまいります」
いつもより機械的な対応のアーリスに、思わず目が座ってしまう。あれは相当へそを曲げてるな。しゃきっと背筋を伸ばして、さっさと部屋を出ていった。少しさみしい気持ちでその背中を見送る。
「…すいません、ご主人様。アーリスのやつ、すっかりすねちまってて」
「構わないよ。君たちが無事で安心した」
またまた珍しく、今日はヴィルが僕をなだめる役目をしている。外歩きに冒険と危険はつきものだ。温室育ちのアーリスにはそのあたり、理解しがたい感情なのだろう。そんなところも好ましいが。
「灰簾はどうしたの?」
ジャスミンの御香を取り替えているヴィルに聞いてみる。するとヴィルは、なんとも言えない表情で説明を始めた。
まず、僕が倒れた直後から。
灰簾は倒れる僕を担ぎ上げ、二人に拘束の魔術をかけた。しかし当然、二人に灰簾の魔法は効かない。すかさず僕を取り返そうとするヴィルを片手でいなし、片足でアーリスを地面に転がした。
そこへ銀色の巨大な猫(彼の飼ってるバステトだ)が姿を表す。灰簾はそれを使役し、二人を背中に乗せてしまう。悪路も高低差もものともしない猫にしがみつかされ、僕を担いだ灰簾とともに、王城へひとっ飛びだったとか。
「あれは、……人生で一番の恐怖体験でした」
もう鞍なしグリフォンでびびってたアーリスをバカにできないな、ヴィル。
「ご主人様、水をお持ちしました」
アーリスが戻ってきて、僕は彼へ意味ありげな笑みを向ける。顔に「?」を浮かべて首をかしげながらも、アーリスもヴィルの隣へ立った。
「で、その後は?」
水を一口飲んで、ヴィルとアーリスを交互に見る。
「灰簾様から着替えを渡されて、この部屋で待機するように言われました。控室に簡単な調理設備も揃ってたんで、俺が毒見しつつ…アーリスと交代で様子伺いつつ…かれこれずっと、こんな感じで」
「廊下へ繋がるドアは、魔術で封鎖されているようです。灰簾様が部屋を後にされる際、『色々話をつけたり調整したりしてくる』と仰っていたので…おそらく今、そちらに時間を割かれているのではないかと」
ヴィルの報告に、話の内容を察したアーリスが補足してくれる。僕は奇妙すぎる灰簾の対応に、疑問を感じざるを得なかった。
「……じゃあ何もされてないの?乳首つままれたり、おちんちんシコシコされたり、お尻の穴いじられたり、おちんぽしゃぶらされたり、おまんこ奉仕させられたり…してないの?なーんにも?」
「は、はい。着替えだけお渡しになって、すぐに出ていかれましたから」
「…ますます意味不明だな、灰簾。あれほど僕と同じ趣味をしてる男が、これだけのごちそうを目の前にして我慢できるとは」
さっと青い顔になった二人を尻目に、しばし考え込む。
おそらく灰簾の目的は、僕を王族派閥に抱き込むことだ。中立を貫く神殿派――紅玉とは違う。ならば投獄でもなんでもして、僕が首を縦に振るまでアーリスやヴィルを盾に、脅迫と拷問を繰り返すと思っていたのだが。少なくとも僕が灰簾の立場であれば、最初に思いつく手段はそれだ。
(それじゃ面白くないと感じた?アーリスとヴィルに魔法が効かないからか…?)
灰簾と僕は、限りなく思考回路が一致している。違うのは人間が好きか嫌いか、という部分だけだ。
(あ……、いや。そうか。人間などなんとも思っていないから、彼らを盾にするという発想がないのか)
それなら辻褄は合う。紅玉ですら、アーリスが誘拐されたことに何も反応しなかったのだ。僕に執事たちを盾として使う行為が有効だなんて、人嫌いの灰簾には思いつかない。そういうわけか。
翡翠にしたってそうだ。盾に使ったのはあくまで殺害命令を受けた、騎士たちだけ。翡翠があのように立ち回れと命じた可能性は、限りなくゼロに近いだろう。
するとこの措置は、時間稼ぎと太陽作戦か?王族派に協力すれば、こんなにいい暮らしができるぞと、デモンストレーションをしてくれているのだろうか。
しかし僕とて、元々こういう暮らしはうんざりするほど経験済みだ。追放されたことで不便な暮らしを強いられている自覚はあったが、それほど不愉快な生活でもなかった。むしろ不自由さで言えば、王宮暮らしの方が圧倒的に上である。灰簾もその時代の僕のことをよく知ってる。この状況も窮屈で不愉快だと感じるくらい、彼も簡単に想像できるだろう。
なら太陽作戦はありえないな。
とどのつまり、灰簾は執事たちに言った言葉通り、何か根回し中であると考えるのが妥当だろう。
「……なんかこのまま大人しくしてるのもシャクだな。嫌がらせしてやろうか」
言うが早いか、僕はアーリスとヴィルの服を掴み、ベッドへ彼らを転がした。
「いっ…嫌がらせって、ご主人様、」
「な、何をなさるおつもりですか……?」
「決まってるでしょ。このふざけた豪華すぎるベッドを、君たちの体液でぐっしょぐしょにしてやるんだよ。二度と使えなくなるくらいね」
せっかく楽しい旅の途中だったのに、デートを台無しにされたばかりか、いきなり目的地の総本山まで連れてこられてしまったのだ。楽しみにしていた久々の都会遊びも、酒も博打も男遊びも、灰簾のせいで全部ナシになった。こうなればもう、何かしら仕返しをせねば気がすまない。
まずは腹いせにこの王城を、最上級の連れ込み宿にしてやる。
「いやいやいや、さすがにそれはまずいですって!」
意外である。真っ先に僕を止めたのは、アーリスではなくヴィルだった。
「ヴィルの言う通りです、ご主人様。いつ灰簾様がお戻りになるかもわかりませんし…」
「そしたら見せつけてやったらいいんだよ。あいにく、もう結界張っちゃったけどね」
ベッドの上で仁王立ちをして、僕は二人の執事を見下ろし命じた。
「───アーリス、ヴィル。服を脱げ」
最初こそ戸惑っていたものの、やはり二人はすぐさま乱れてくれた。
旅の間、長期間にわたって射精を禁じられ、まともにまぐわうこともなかったのだから当然だろう。あったのは口淫や軽い戯れだけ。その他の期間は、ずっと僕の血液だけを摂取していた。
出発前のように二人同時に奉仕させ、まずは精液の味をじっくり楽しませた。それから、一人一回ずつ中に出してやり、互いの尻穴から僕の精液を吸い出して味わうよう命じた。いくら友情以上の感情を持っていない相手の尻の穴であっても、その中にあるのは大好きな僕の精液だ。大好物を嚥下する内、アーリスはおろかヴィルですら、次第にうっとりした表情で中へ舌を滑り込ませていた。
そして現在、二人はベッドに股を開いて座り、対面側で腕を組む僕へ、いやらしい自慰を披露している。
「ご主人様ぁ……っ」
「あ、あぁ……、んっ」
アーリスは勃起乳首をいじりながら、片手でアナルを慰める。ヴィルは両手でアナルを広げ、指を四本潜り込ませて乱れる。
どちらか上手に出来た方に射精させてやると、褒美をちらつかせたためか、二人共必死の様子だ。恥ずかしげもなく大股を開いて、僕へメスアピールをしている。
ふと視線をずらすと、テーブルの上のティーセットが目に入った。
「………使えそう」
僕は立ち上がり、そこにあったティースプーンを二本手にし、とある魔術を吹き込んだ。金属の性質を読み取り、物質の形状を変化させる魔術だ。以前に僕が、兵士たちを脅すために葉っぱへかけた魔術と同じものである。
ティースプーンは瞬く間に先端が丸くなり、細長いただの棒へと変化した。
「指だけじゃ物足りないでしょ?これ、使っていいよ」
二人の方へ放り、ベッドへ座り直す。アーリスとヴィルはおずおずとその棒を、1本ずつ手に取った。
使い方はあえて教えない。どう使うかは本人たち次第だ。
「はい……あ、ありがたく使わせていただきます…。ん、……っ」
先に動いたのはアーリスだった。細い棒を口に含み、舌で濡らしている。ヴィルはまだ使い方を決めかねているようで、アーリスの所作を見守っていた。
「んぅ…ちゅぷ、」
たっぷり濡らし終わった棒が、勃起して汁を垂らす性器の先端に当たった。
「っあぁ…う、あぁぁ……っ」
アーリスは甘い吐息を漏らしながら、ずぷずぷとペニスの中へ、その棒を埋め込んでいく。
隣のヴィルは自慰も忘れて頬を赤らめ、固まってしまった。ソコを犯すのはやはり、普通ならば恐怖が勝るものだ。彼の反応の方が正常である。
「ヴィル、どう使うかは君の自由だ。でもアーリスと同じことができるなら、二人共射精させてあげる」
「あ、ぅぅ……っ射精したい、しゃせいしたいぃ…っ」
ガタガタと震える手で棒を握りしめ、余裕のない表情で棒の先端を押し付ける。追い詰められた人間とは、なぜこうも無様なのか。僕が長年ヒトを愛でる、大きな理由の一つだ。
「もっとリラックスして。手元が狂わないように、ゆっくり息を吐くんだ」
「は…ぁぁ……あ…っ」
「そう、いい子だね。カウパーでしっかり濡らして、焦らず優しく…快感だけを拾えるように、奥へ進めてごらん?」
「はぃぃ…っ、んく…っ、ん……ふぅぅ…」
いつ見ても尿道の処女穴開通は扇情的だ。苦しそうな表情が徐々に力を失い、だらしなくよだれを垂らし始める。背筋に寒気が走り、そのまま快感だけを追っていくと、すぐに腰が抜けてしまうそうだ。
「二人とも、横になる?」
両サイドの枕をぽんぽんと叩き、今にも崩れ落ちそうな前かがみで自らの尿道を犯している、二人を見た。
やがてとろとろのおちんちんを両手で大事そうに包み、アーリスとヴィルは、子犬みたいに丸まったまま僕の両脇に体を倒した。
「んぁ…っあ、おく、きもち、いい…っ、ですぅ……」
ちゅぷ、ちゅぽ…と、ひかえめな水音が片側から聞こえてくる。棒の隙間からしとどに先走りを漏らし、それを潤滑油にして、アーリスは夢中で手を動かしていた。
「アーリス…君は本当にド変態だねぇ。おしっこする穴がそんなに気持ちいいの?」
「あぁぁ…ッ、はぁ、はいぃ…っき、気持ちいい、気持ちいいですっ…ご主人様ぁぁ……っ」
「ふぅん。どんな風に?」
「ず、ずっと…おしっこ、してるみたい…で、っあ、…あと、奥の方を刺激すると…、お、おしりの…気持ちいい所を、押されてるよう、な……ぁ、あっ」
「ここ?」
「んひぃぃッ!?」
控えめに出し入れしていた棒を、ぐい、と指で押してやった。突然与えられた強烈な刺激に、アーリスは白目をむいてみっともない声をあげる。
「ひょ…ひょこっ!ひょこ、れすぅぅッ!」
へこへこ揺れる腰の動きに合わせ、何度も同じ場所をえぐってやれば、自分で竿を支えて続きをねだってくる。早くも前立腺を直接刺激する、尿道オナニーにハマってしまったようだ。
「この場所を忘れないように、何度も念入りに可愛がってみな。慣れると何十回でもメスイキできるようになるよ」
「っ…ひ、はひぃぃ……ッッ」
細かく明滅する淫紋に目を細め、僕はふたたびアーリスに自慰の続きをうながした。
ヴィルはどうしたかな、と反対側へ向き直ると、こちらも舌を突き出して感じまくっていた。いつの間にか奥まで棒を入れており、アーリスのやり方に習うようにして、前立腺刺激の快楽を追い求めている。
「そうそう、二人ともその調子。いい子だね」
僕は満足して、ヘッドボードに背を預け、もう一度深く座り直した。
「ぁ゛~~~~っ、きもちっ…、きもちいっ……おしっこ穴しゅごいぃ…っ」
「こわれるっ…こわれひゃぅぅ……っひぃぃん…」
棒をピストンする速度は上がり、奥の気持ちいい場所へ当たるたび、隙間からプシッ、プシィッ…と小さく潮を吹き始めた。
「壊しちゃってもいいよ、ちゃんと治してあげるから。だから二人が思いっきり気持ちよくなってるとこ、もっと見せて」
ふわふわの茶髪とさらさらの黒髪を、片手ずつでなでてやる。たったそれだけで下腹部の淫紋を光らせてしまう可愛い二人に、僕はようやくご褒美をあげることにした。
「アーリス、ヴィル。尿道で自慰を続けたまま、射精しろ」
「ッ~~~~!!くぅぅんっ…あはぁぁあッ…あっ~~~!」
「はひぃぃッ!イぐっ!イっぐぅぅ~~~~~ッ…」
何十日と溜めた濃い精液が、ズプズプと出し入れされる棒を伝って流れ出てくる。粘度が高いせいか、金属のそれに絡みつくだけでなかなか落ちていかず、絡みついたままだ。僕の命令によって尿道オナニーを止められないので、何割かは棒と一緒に中へ戻っていってしまう始末だ。
「はひぃぃ…っひぉ゛~~~~……っんくぅぅ、んっ…」
「だめぇ…きもちいいのっ、だめぇぇッ…!」
どろどろの精液を垂れ流しながら、激しく棒が上下する。二人は抵抗しようと身をよじっているが、一刺しで射精するごとに声は甘くとろけ、下品な裏声に変わっていく。
「…あーあ。もうすっかり尿道も性器になっちゃったねぇ?…どうする?これから毎日おしっこするたびに、メスイキしちゃうかもよ」
「っあ!?うぁぁ…っあ、」
「ぁひぃぃッ……」
僕は意地悪く二人に話しかけつつ、串刺しにされてピクピクと動く二人のペニスから、同時に棒を引き抜き始めた。亀のようなスピードで、尿道の壁が引きずられる感覚を覚え込ませるように、ゆっくりと。
「あぁ…ぁ……ご、しゅじ…さまぁ、あッ、もれ…もれちゃいそ、ですぅぅ…ッ」
「お、俺もぉ…っでちゃ、出ちゃうぅ、おしっこ出ちゃいますぅ……」
「出していいよ。多分今出したら、イっちゃうほど気持ちいいから」
アーリスは両手で口をおさえ、いやいやをするように首を振る。
ヴィルは腰をカクつかせ、竿を支えていた手をいつの間にかお尻の穴に入れてしまっていた。
二人とも快楽には抗えない様子で、ただされるがままになっている。予想通りの結果に満足し、そのまま最後まで精液まみれになった棒を引き抜いた。
「ッひぁあ……!」
「あっ、あ゛~~~~ッ…」
尿道を圧迫していた棒がなくなり、残っていた少量の白い粘液を飛ばした後。二人はほぼ同時に、ほぼ透明な液体をジョロジョロと垂れ流し始めた。顔を真っ赤にして両目をつむり、白いシーツに恥ずかしいシミを広げていく。
「ひっ…ひんっ……」
「あぅぅ…で、でひゃ…っ」
気持ちよさそうに萎えちんぽからチョロチョロお漏らしをする姿を見ていると、僕の下半身も元気を取り戻してきた。
「さて、じゃあそろそろもう一回……、」
「黒曜、起きた?灰簾が来ましたよ」
……は、できないみたいだ。短く舌打ちをして、声の主を睨みつける。大きく開いたドアには当然、僕らをここへ押し込めた張本人──海色鱗の竜族が立っていた。
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