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42:分からせ※
乱暴に押し倒されたわりに丁寧にキスから始まった。綺麗な顔が迫ってきて唇が合わさると何も言えなくなる。最初はお互いに目を合わせ、俺は黒く艶々した長いまつげから、何か溢れそうな潤んだ瞳を見ていた。俺の瞳が映ってる。まだ嘘みたいなシチュエーションにおざなりにキスしていると、マキが歯列を割って中に舌を入れてきた。どこもかしこも特大サイズのマキは舌まで大きく、長く分厚い舌に奥まで入り込まれると、顎が開いて閉まらなくなる。
「んう、ふ、んん」
上顎をなぞられると声が抑えられない。ここが気持ち良くてフェラするときも擦ってしまう。
口を離すと「はあ~」と長いため息をつきながらマキが俺の肩に顔を埋めた。においを嗅ぐ。
「これ、何? 香水?」
「っ、嫌なら、もうつけない」
「つけていいよ。俺と会うときだけね」
独占欲を見せつけられると心臓が跳ねる。男ウケを狙ってやってるとバレてるんだ。空港の免税店で買ったムスクの香りを舌で舐め、マキが胸に手を這わす。乳首をぎゅっとつねられた。
「いっ、いうっ……!」
ぎゅう~っと両方引っ張られる。俺の乳首はつまめるだけ育てられ、今と同じように何度も引っ張られたから少し盛り上がってる。性感帯だとバレバレのそこを、上から肌を辿ってきたマキの舌がひと舐めする。ぴりぴりと感じて息が詰まった。
「やらしい乳首してんなあ。普通の男、ここそんな感じないから」
「は……っ、ふうう」
「もう勃ってるし、ほんとスケベ」
乳輪を舐めまわしたかと思えば、ちゅ~っと吸い付いてきた。腰が浮きそうになるのをマキの腹筋に阻まれる。固い洗濯板みたいな筋肉に勃ちあがったちんぽがごりごり擦られ、たまらずマキの頭を抱え込んだ。
「はあっ、はあっ、うう」
吐息を制御して声が上がりそうになるのを我慢する。マキは律儀に両方の乳首を順番に嬲った。触れるか触れないかの位置で指の腹で突起をくすぐり、もう片方はぢゅるぢゅる音がするほど唾液を含ませてすする。
「うう~っ、はあっ、はっ」
両極端の刺激でランダムに体が強張る。女みたいな乳房も無いのにマキが懸命に責めるから、まだ脱いでもないボトムがじんわりと濡れる。
「はあ、こうくんのおっぱい、おいしい」
口を離したマキが満足気に涎を拭った。最後の手遊びにくりくりと先端を弄って離れていき、油断して「あっ」と声が出た。くそ。乳首を弄られたくらいで喘ぎたくない。ベルトが外れたまま放置されていた俺のボトムをマキが一気に剥ぎ取る。照明がついたままの明るい室内で、俺の下半身が露わになる。
「……ビッチじゃん」
マキはすぐに下の毛を短く刈ってるのに気付いた。うるさい、マナーみたいなものだ。さりさりと毛を上から撫でて、マキの指が尻穴めがけてやって来た。穴の周りをなぞり、漏れたローションを塗り込まれる。
「こんなに濡らして、誰のハメるつもりだったんだよ」
俺の情欲を責めて指が一本入ってくる。
「んん、う~っ」
セックスするために男と会ったのだ。毛を刈って事前にケツを洗うくらいする。早く何も考えられなくなりたくて、中の肉を濡らして柔らかくしていた。それをただの作業で行うには俺は抱かれることに慣れ過ぎていて、最中はすぐにマキとのことを思い出した。
もう何日も一人でやるときはマキのことを考えてる。
「う、ふうっ、ふっ」
尻の肉が勝手にマキの指に巻き付いて離れないから、力を込めた。ぐぱっと穴が広がるのが自分でも分かる。
通りやすくなった穴にマキは「は?」とイラついて訝しんだ。
「すげぇ広がる。何これ」
「はあっ、は、ん~っ」
「この間と全然違うじゃん。何回寝た?」
「ちが、あっ、んう」
1人オナニーにふけっていただけだ。それを他のやつとのセックスと勘違いされる。違う、お前とやるために自分で広げたんだ。否定しようとしたら遠慮なしに二本目が入ってきて言葉が途切れた。俺の前立腺を覚えてる二本がいい位置で折り曲げられ、足が震える。
「はあっ、はあっ、あっ」
「ガバガバ。もう一本いけるよ」
「あっ、あっ、うう~ッ!」
三本の指が前立腺部分に当てられると、外側にある親指が会陰部に触れた。この間もされた行為が頭をよぎって、逃げようと体が上へ上がろうとする。すぐさまマキがぎゅっと前立腺を握った。
「あ~ッ、んひっ、なかが……ッ!」
駄目だこれ、なんていうプレイなのか分からんのに、すぐ駄目になる。上体がのけ反ってうめき声が溢れる。中からと外からと挟み込まれて、体内にある前立腺が鷲掴みにされている。そのまま左右に揺さぶられると、あられもない声が出る。
「いやだ、や、うううう」
ジタバタやって逃げ出そうとしたらちんぽを掴まれた。一番感じる性感帯を2つ掴まれてるだけでもう動けない。
「あっ、やだっ、マキ、マキ」
手が大きい。あったかい。先走りを塗り拡げられる不器用な手コキと手マンでいっちまう。
「あっ、いやだっ、抱けっ、やだ、欲しい、ほしいぃ」
せっかくマキと恋人になったのに。
本物がすぐそこにあるのに。
今まで通り偽物のそれでいくのかと思うとマキ本人に責められてても物足りなくて懇願していた。ギラついたマキの目が俺を見下ろす。
「こうくん、突っ込んでもらえるなら何でもいいんだろ」
そんなわけねぇだろ。
ハアハア止まらない息の合間に「違う」と言ってもマキは信じなかった。苛立ったマキの手にぎゅうぎゅう良いところを押し込まれる。
「いあっ、あ」
「こんなになるまで誰とやったんだよ」
こんなデカチン、お前以外に居てたまるか。
「あっ、じぶんっ、自分でっ」
いきそうになるのを足の指をぎゅうと押さえて我慢する。ぶるぶる震えながらマキの質問に答えた。
「自分~?」
「うう、そう、ふうう」
「嘘だろ、この間のバイブでここまで広がる?」
「はーっ、はーっ」
話しながら中が前立腺を押し込みながら前後する。長く息をついて何とか耐える。喋れなくて顔をベッドサイドにチェストに向けて「それ」と顎でマキに示した。ちんぽを握ってたマキの手が離れて、チェストを開く。
マキは迷わず一番上に入っていたディルドを取り出した。カリ高のぶっといやつ。長いから手に持つとしなって項垂れる。おもちゃでも情けない姿にマキが放心している。
「……こんなんでオナニーしてたの?」
「お前サイズだろ」
「えっ」
ドン引きして黙った。自分の股間をチラと見てる。マキの下半身は前だけくつろげた状態で、パンツを押し上げて外に出ようとしている。
それだよ。それ。
足でマキの腰をなぞり、指にボトムの端を引っ掛けて下げてやろうとすると、振り払って止められた。俺の尻穴から指を抜き、チェストからローションを取り出す。ディルドの上にどばどばとローションを垂らした。
「じゃあ次はこれ」
まだ偽物で我慢しろというのか。
「嫌だ、って……! お前もう入れろ!」
「上から物言える立場かよ」
「うっ……うう~っ」
マキのドスをきかせた低い声に逆らえない。アイドルみたいな面しといて、そんな声どこから出てくる。
ここ何週間かですっかり慣れた質量が入ってくる。一番太い先端部分が肛門のすぼまりをクリアしたら、後からは比較的楽になる。力んで入ってくるのを手助けすると、そのままずぶずぶと竿部分まで入れこまれた。
「あっ、マキっ、ゆっくり、ゆっくり……!」
自分のペースじゃないから収縮したタイミングで擦られ、ごりごり内壁を削られる。
「あっ、あ~~~~っ、はあ、はっ、うう」
自分でちんぽを握り、いくのを我慢した。おかげでひたすら勃起した俺のちんぽの裏側が丸く膨らんでディルドを押している。腹いっぱいの圧迫感にじわじわと脳が侵食されていく。
きもちいい。
「ううっ……やだあ……いやだ……」
でもこれじゃない。
首を振って快感に耐えていると、マキがため息をついた。
「やだとか嘘ばっか。漏らしたみたいに何か出てるよ。もういってんの?」
「ふう、う、ちが」
「ほらあ、こんなんでも気持ちいいんじゃん。何でもいいんだろ」
「ちがうう」
きゅう、とヒダがすぼまり狭くなったところをディルドで何回も叩かれる。その先を無理矢理進もうとはせず、ちゅぽっちゅぽっと先端に吸い付かせる。まだ奥があるのに。マキは知らないのか。浅ましく吸い付く穴を無視され、ヒダの裏にある精嚢の端っこを引っかけるように何回もピストンされた。だんだん我慢がきかなくなる。
「あっ、あっ、あう、あ~っ」
ちんぽの先からじゅわじゅわ透明な液が漏れる。
「あ~っ、やだっ、あ、あっ」
どぶっと溜め込んだ精液が押し出された。手はずっとちんぽを握り込んだままで、いくときに力が入ってきゅっと自分自身を締め付けてしまった。そのせいで一気に全てが吐き出されることなく、断続的に快感を得る。脈打つように吐精する俺に「すげぇ」とマキが感心した。
「う~っ、うう~っ」
外でいって同じように中が動く。いくときにギュッと締まる。でも今入ってる形の変わらない偽物は俺が締め付けてもすぐ押し返してきて、力が入りきらずにイききることができない。浅く絶頂したまま、ゆるゆるそれが継続する。
波が引かない。ずっと気持ちいい。
「あううう、も、まき、まき……っ」
背を丸めて顔を膝のすぐ横まで持っていった。マキの太ももに手を伸ばしてすがった。熱い体温に触れ、顔を上げると、じわっと額に汗を浮かせたマキが荒い呼吸を繰り返していた。恐ろしい顔をしてディルドを持った手を睨むマキは、俺と目を合わせると長い息を吐く。
「はー…………何」
「も、これ、欲しい」
本当はマキのちんぽまで手を伸ばしたかった。でも届かなかったから、内側へ、限界までマキの逞しい太ももをなぞる。
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