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第2話

俺の中学からの友人、瀧藤健介。 俺が寝るのが嫌いなことも、そのせいで常に寝不足なことも知っている数少ない人の一人。そして情報通としても有名だ。 「漣。安達と付き合ってるって本当か。」 その日は安達を抱き枕にしてから一週間が経った頃。毎朝ハイテンションで飛びついてくる瀧藤が、真剣な顔をして挨拶もなしにそう言った。 別に隠すことでもない。俺は事のあらましを全て話した。包み隠さず、全てを、だ。 瀧藤は実家がお寺だからなのか、心が広い。殆どのことに偏見は無く、肩書きに惑わされることなくその人の本質を見る。そんな奴だ。 だからこそ、俺は特に緊張もせず話した。 「安達はやめとけ。」 一言そう告げると、足早に歩き始めた瀧藤。俺はその言葉に驚いてしまって、慌てて追いかけた。 一瞬、男同士でそういう行為をした事を言われているのかと思ったが、違う。安達という人物に気を付けろと俺を心配しているのだ。 「なんでだ?理由を教えてくれ。」 「………はぁ。」 お前、案外そう言うとこあるよな。と溜息をついた瀧藤。少し恥ずかしそうに訳を教えてくれた。 お前の話を聞くに、安達は何度も男に抱かれているだろう?普通に考えて、不特定多数と性行為を行なっている人は性病に感染している可能性が高い。 そんでそいつ、あの安達累だろ?有名だぜ、あいつ。俺たちの学校でも体売ってるらしい。しかも教師にも超人気だって。 お前にその気がなくても、周りの奴らがどう思うかなんて火を見るより明らかだろ。相手のことが好きならまだしも、ただの睡眠グッズならリスクが高すぎる。 「はぁ〜〜、成る程、確かに。お前の言う通りだ。」 「だろ?」 「心配してくれて、ありがとな。」 「………お馬鹿な温人君には、俺みたいな親切な人が付いていないとなぁー!!」 礼を言われたのが恥ずかしかったのか、瀧藤。そんな瀧藤を揶揄いながら、安達になんと説明するかを考えていた。 ーーーーーーー ーーーー ー 「嫌です!」 「駄目だ!」 「絶対嫌です!!」 「絶対駄目だ!!」 「うん、想像通り。」 昼休み、瀧藤を連れて屋上に向かい、あらかじめ呼び出しておいた安達と三人で飯を食うことにした。だが、ご覧の通り自己紹介も無いままにこの状況になり、5分が経過した。情報通とストーカーは、お互いに名前も顔も一致していたらしい。 始めは止めようとしたが、もう、面倒くさい。そろそろ腹も減った。いつもの場所へ座り弁当を広げた。 「僕は先輩のことが好きなんです!」 「俺だって漣のことが好きだ!」 「先輩のはlikeでしょ!!」 「だから何だっていうんだよ!!」 「あの、俺を挟んで喧嘩するの止めてくれない?」 お互いの顔から視線を逸らしはしないのに、俺が動いたことに気づいた二人。そそくさと両隣に座り、再び始まる言い争い。 やだもう、面倒くさい。

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