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第2話
彼と番になったのは高校3年の時だった
第二の性の判定が出て、僕がΩとわかっても仲良くしてくれていた彼
ずっと好きだった幼馴染であり、初恋の相手
いつも優しくて、頼り甲斐のある彼
彼がαだってわかった時、すごく嬉しかった
もしかしたら…って、少し期待してたから
あの日、いつも通り学校の空き教室で試験勉強をしていなければ…
他に誰か居れば…
抑制剤を飲み忘れなければ…
僕の発情期 が来なければ…
たらればだけがずっと、ずっと、今でも思ってしまう
でも、発情期 事故とはいえ、その時に頸を噛まれたことが僕には嬉しかった
ずっと、好きだった幼馴染であり、初恋だった彼が、僕の、僕だけの番になってくれたから...
彼も僕のことが好きだったのかも
だから、いつも一緒に居てくれたし、仲良くしてくれた
だから、もしかしたらこれは運命だったのかも…
と彼に机に押さえつけられるように犯されながら、ぼんやりと考える
発情期 のお陰で、前戯がなくても濡れたアナルに無理矢理突っ込まれても痛むことはなかった
乱暴に、熱に侵されたように何度も何度も、僕の頸を噛みながら腰を打ち付けてくる彼
僕たちしか居ない、静かな教室で、僕の喘ぎ声とグチュっクチュッという濡れた音、腰を穿つ音、彼の荒く熱い吐息が響く
彼は最後まで何も言ってくれなかったけれど…
それでも、頸を噛まれる度に心が震える程嬉しかった
彼も僕と同じ気持ちだったんだって…
気を失うまで、何度も身体を求め愛し合った
言葉は一切なかったけれど、深く、深く繋がりあった
目が覚めると、そこは病院のベッドの上だった
何度も噛み付かれた首には包帯が巻かれており、まだ火照った身体で、身動きの取れない僕のベッドの周りに、僕の両親と彼の両親がいた
彼の両親は、彼と一緒に何度も頭を下げ、責任として高校を卒業したら結婚すると言ってくれた
僕の両親も、それなら…とその時は納得してくれた
僕が眠っている間にも色々話しは済んでいるようだった
でも、僕は嬉しかったんだよ
好きな人と番になれて…
彼も嬉しいんだと思っていた
これから、一緒に幸せになれると思っていた
なのに、番になってしまった時から彼の態度が変わってしまった
一番仲が良かったはずなのに、汚物でも見るような目で見られるようになった
高校を卒業して、彼は大学に通いながらお義父さんの仕事を手伝っている
本当なら、大学を卒業してから就職する予定だったのを早めたらしい
僕との生活があったから…
大学と仕事を両立させながら忙しなく働く彼
僕も、大学には行きたかったけど、養って貰っていることもあり何も言えない
彼は僕が外に出るのを許してはくれない
買い物も、散歩も…
外に出るのはマンションのベランダに洗濯物を乾す時だけ
それでも、彼と一緒に居れるんだと最初は嬉しかった
忙しい彼に少しでも喜んで貰いたかった
一緒に暮らすようになって1年が経つけど、抱いてくれるのは彼の性処理の為だけ
彼とのSEXには彼の決めたルールがあり、守らないと殴られた
◎絶対に声を出さない
◎求められたらどんな時でも四つん這いになって受け入れる
◎絶対にキスをしない
夫夫 だけど、彼にとって僕は違うらしい
行為中は絶対に顔を見ないし、ちょっとでも喘ぎ声を出してしまうと殴られる
声を殺す為にいつも腕を噛んで耐えているせいで、腕にはアザのように幾つもの歯型が消えることなく残ってしまった
発情期中は一切触ってくれないのに、彼がヤリたい時だけ求めてくる
言われたらどんな時でも四つん這いになって脚を開く
前戯なんてものはない
ローションをかけられ、何度もお腹のナカをめちゃくちゃに犯される
オナホと同じ扱いでしかなかった
僕たちは、番だけど番じゃない…
僕は彼が好きだけど、彼はそうじゃないから…
キスは、今まで一度もしたことがない
「好きだ」とも、一度も言われたことがない
一緒に居てくれるのはただの義務感から…
いつの日か、僕のことを好きになって貰えるように、家事はひと通り出来るようになったし、言われたことは出来るようにした
でも、発情期になると、今日みたいに出て行って帰って来ない
帰って来ても、知らないΩのフェロモンの香りを付けて帰ってくる
僕の番なのに、僕たち番なのに…
発情期 を僕は誰にも助けて貰えず、収まらない熱をどうにかしたくて、部屋の隅で自慰をしてやり過ごすしかない
寂しさと悲しさで壊れそうな日々を過ごすしかなかった
そんな日々を過ごしていたある日、彼がすごく嬉しそうな顔で告げてきた
「やっと開放だ!!オレの、オレだけの本当のΩを見つけた!」
あんなに晴れやかな笑顔を見るのはいつぶりだろう
大好きだった彼の笑顔
ずっと見たかった笑顔
でも、これでもう怯えて殴られなくて済むと、内心少しホッとしてしまった
新しい番が出来たということで、書類上でも事実上からも、僕との番は彼と彼の両親によって強制的に解消されることになり、僕は実家に帰されることとなった
偽りの夫夫 関係は、こんなにもあっさりと終わりを告げてしまった
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