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第3話

実家に帰っては来たけれど、僕の居場所はここにもなかった 近所の目もあるから、ここでも僕は家から出ることを許されなかった 部屋から出て家の中を歩くのも誰も居ない時だけ お風呂もご飯も、家族みんなが寝静まった時に残されている物を少しだけ… 母さんは一応心配してくれる ご飯も取り置いてくれるし、家族が誰も居ない時は少しだけ話し掛けてくれる それが、どんな言葉でも… 父さんは僕が居ないモノとして扱った この部屋から一切出るなと言われ、物置の少しのスペースが僕の部屋になった 元々の部屋は、もう使わせては貰えない 今はもうすぐ来る兄のお嫁さんの部屋になるらしい 兄さんは、僕がΩだとわかってからと差して変わらない αで優秀な兄さん 家族みんなの自慢で、誰からも好かれる兄さん 僕が帰って来たことに、一番嫌悪している 僕が、この家で唯一のΩだったから… αに産まれて来れなかった出来損ない 家族、唯一の汚点 僕のフェロモンは甘ったるくて臭いらしい 誰にも好まれない香り 父さんも、母さんも、兄さんも… この臭いのせいで嫌な顔をする この家に居ても、どこに居ても、僕の居場所だけは存在しなかった 兄さんのお嫁さんがもうすぐ来る頃、僕はとうとう実家からも追い出される日が来た 彼と別れて7ヶ月、2回、発情期が来てしまい、家に居ても匂いが抑えられない 身体の熱を開放することも出来ない 番を求めるも、捨てられたΩを誰も助けてなんてくれない 少しずつ、少しずつ、精神を蝕んでいった 「Ω専用の精神治療医療病棟」 別名、捨てられたΩの死処と誰かが言っていた この日、僕は家族からも捨てられた 親子の縁も、兄弟の縁も、家族の縁も 僕はこの日、ここで死ぬまでひとりぼっちになった 壊れ始めた心には、そんなのどうでも良かった もう何も感じたくない 期待するのも、好きになるのも、寂しくなるのも もう、全部疲れちゃった…

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