「…んっ……しろ、さ…おは、よ…」 今まで以上に激しく何度も奥に注ぎ込まれたこともあり、まだ身体が熱くて頭がボーっとする 「おはよう、雪兎…いっぱい泣かせちゃったから、声が涸れてるな。水、飲めるか？」 心配そうに僕の頬を撫でてくれる 彼に寄りかかって口移しで水を飲ませてくれた 「士郎さん、僕を、番にしてくれて、ありがとう」 頸に感じる甘い痛みに涙が溢れ出る 「雪兎、ごめんな…。痛いよな…でも、ありがとう」 僕の頸にはくっきりと士郎さんの証(しるし)が付いており、まだ微かに血が滲んでいる その証(しるし)に優しく口付けをしながら心配そうにしてくる彼に、今まで以上に愛しさを感じ 「大丈夫。ただ、嬉しいだけ…嬉しすぎて、死んじゃいそう…」 目の端に涙を溜めながら、今までで感じたこともない程の幸福感に笑みが溢れ、ずっと感じていた不安が消え去ったのを感じる 瞬きをした瞬間、零れ落ちた涙が、今までずっと抱えていた悲しかった気持ちと一緒に落ちたように感じた 今なら、士郎さんなら、我儘を聞いて貰えるんじゃないかと、素直に甘えたくなり 「あの…士郎さんの服で、巣を作りたいんだけど...使っていい服、今度教えて。汚しちゃうかもしれないから、捨てる予定のでもいいから...」 まだ自信がなくて、語尾が消え入りそうになりながら、遠慮がちにお願いをすると、ギュッと強く抱き締めてくれた 「服、全部使っていいよ。雪兎の為にあれだけ集めたから。好きなの、遠慮せずに全部使っていいよ」 彼の匂いと体温を感じながら、幸せを噛み締めていた 士郎さんに見つけて貰えてよかった… この人の番になれてよかった 「士郎さん、大好き」 3ヶ月後、次の発情期が来たが、雪兎は今までのようにひとりで我慢することはなくなった 寝室で、先程からせっせと何かを作っているのを見て、俺はひとりリビングで呼ばれるのを待つ わかってたとはいえ、せっかくの誕生日と重なってしまって、何処にも連れて行けないのだけが悔やまれた 「士郎さん、こっち来て？」 少し赤くなった顔で扉からひょっこり顔を出す姿に笑みが溢れる ベッドには色とりどりの服が並べられ、まるで大輪の華が咲いているような、綺麗な巣が出来上がっていた その真ん中にちょこんと座って両手を広げる姿に愛しさが込み上げる 「士郎さん、誕生日プレゼントをください。士郎さんを、僕にください。」 少し照れくさそうに笑いながら言う雪兎を抱きしめ 「雪兎、23歳の誕生日おめでとう。俺の全部、雪兎のものだよ。ずっと、永遠に雪兎だけを愛しているよ」 初めて番で入ることの出来た巣で、しあわせそうに抱き締め合い、愛しい人の誕生日を迎える 今までずっと我慢していたことも、やれなかったことも、2人一緒ならそれだけでしあわせなのだから 「士郎さん、僕を見つけてくれてありがとう。愛してます」