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17．夢中で**
その台詞を聞いて、士郎は羞恥に顔を赤く染めた。
それでも、ゆっくりと脚を開いていく。
開かれた脚の、その間の慎ましやかな窄まりを絢也に見せつけるような格好に、絢也は目眩を覚えた。
「士郎、綺麗だ……」
「、んな、女にいうような台詞、言わなくていいから」
「ちげーよ、別にそんなんじゃない。ほんとに綺麗だから、そう言ってる。……だから、もっと、見せろよ」
絢也は、全てを自分さらけ出す格好になった士郎に、急激に征服欲が湧き起こるのを感じた。
もっと、羞恥に戸惑う士郎が見たい。
そんな趣味が自分にあったのかと驚きもあったが、士郎を支配したいという衝動に、すぐ飲み込まれてしまった。
「なッ……！」
「ほら、もっと、脚、自分で持って、広げて見せて」
それに、士郎が絢也のそうした一面に、興奮しているのも分かっていた。
男は何かとわかりやすい。
絢也の視線に晒された、腹の上でピクピクと震える士郎のモノは、絢也が士郎に恥ずかしい行動を要求するたび、先端から滴を零すのだ。
羞恥から長い睫毛を伏せた士郎が、しなやかな腕をノロノロと動かして、脚を掴んだ。
膝を折り曲げるようにして、脚を開き、秘められた場所を絢也の目の前に差し出す。
はぁ、と絢也も熱いため息を零す。
暴力的なまでに腰を直撃する光景だった。
絢也のモノはもうとっくに痛いほど勃ちあがって、ズキズキと脈打っている。
その楔を受け入れる場所へと、士郎のこの小さな窄まりを、これから変えていくのだ。
「ッ……」
手のひらで温めたローションを指にとり、孔の周りをマッサージするように、ゆっくりと揉んでいく。
その感触に、士郎が息を飲むのが分かった。
「ぁ、あ……」
孔の縁を撫でるたび、ビクンと士郎が身体を震わせ、孔が物欲しそうにヒクリとうねる。
このときのことは、自慢ではないが何度も頭の中でシミュレーション済みだ。
ただ一つ違うのは、士郎の反応が想像より遥かにエロくて、血が沸騰しそうになることだった。
——焦るな。怖がらせないよう、ゆっくり。
絢也は興奮からつい荒くなりそうな手つきを、必死で宥める。
「ぁ、絢也の、指ッ、入って……」
「うん、まだ一本だけど。痛い？」
「んーん、痛くはねえ……けど、ッ、なんか、へんなかんじが、する」
「痛かったり、苦しかったら、すぐ言って」
——まあ、やめてやれねーと思うけどな。
内心絢也はそう独りごちた。
そのくらい、士郎の中は熱くて、狭くて。
入れているのは指なのに、絢也の方が痺れるような快感を得ていた。
「士郎のナカ、すげ……」
「ッぁ、そういうこと、言うなって……」
「だって、めっちゃきゅうきゅう締めつけてくる」
こんなに狭くて、絢也のモノを受け入れることができるのだろうかと、心配になるほどだ。
それでも絢也はやめることができなかった。
ぐにぐにと曲げたり、ぐるりとかき回していた最初の指を引き抜くと、士郎はビクンと腰を震わせ、小さく吐息を漏らす。
絢也はローションを再び指にとり、今度は2本に増やした指を潜り込ませた。
「あ、ぁあ、絢、也ぁッ……」
圧迫感が違うのだろう、士郎が少し苦しそうな声をあげる。
自分の名を呼ぶ士郎の切なげな声に、絢也はドクンと心臓が大きく跳ねるのを感じた。
みちみちと隘路を広げながら、絢也は士郎が少しでも快感を拾えそうな場所を探す。
絢也の指は、そこまで長くもないが、短くもない標準サイズだ。
自分の指でも、確か、届くところにあったはず。
そのしこりを捉えた絢也の指が、ぐ、とそこを押した瞬間、士郎は絢也の指を喰いちぎらんばかりに締め付け、身体をガクガクと跳ねさせた。
「ぁ、あああ……ッ！ なに、それ、やッ、絢也ぁ、それやだっ、痛いって！」
未知の感覚に戸惑う士郎が、絢也の腕に縋る。
「痛いんじゃない、気持ちイイんだよ。これは前立腺。聞いたことあるだろ？ 男はここで気持ちよくなる。ただ、強すぎるからそう感じるんだ。ほら、こっち、びしょびしょ」
空いている方の手で、ぬかるんだ士郎のモノをしごいて、それが快感だと士郎の身体に教え込む。
「ッひ、あああ、絢也ッ、やぁ、ああ……ッ！」
少し強すぎたかもしれないと、その膨らみを撫でるように擦ってやると、士郎の声に甘さが混ざってきた。
うねうねと内壁がうごめき、もっと奥へと誘われる。
その淫靡な動きに、絢也はたまらなくなって、指を3本に増やした。
「う、ぁあ……」
士郎が眉を寄せる。
「大丈夫？」
絢也が声をかけると、士郎は涙の溜まった睫毛を重たそうに持ち上げ、蕩けた瞳で絢也をぼんやりと捉えた。
「ん、大丈夫、さすがに圧迫感、すげーけど……なんか、ちょっと気持ちイイ、かも」
きゅうきゅうと指を孔でしゃぶりながら、士郎が恍惚とした顔でそう告げた。
「お前の指、だからかな」
とろんと蕩けた顔でそんな発言をする士郎に、絢也はその場で死んでもいいとさえ思った。
嬉しさのあまり、士郎の太腿に噛み付くようなキスを落とす。
それにすらきゅんとナカをひくつかせて反応する士郎が愛おしくて、絢也は頭がおかしくなりそうだった。
何度も前立腺を柔らかく刺激し、その度にピクンと震える士郎の雄が零す滴を舌先で舐めとる。
しつこいくらいに準備に時間をかける絢也に、士郎が先に音を上げた。
「絢也、ぁ、も、いいからッ……」
「え……」
「もう、大丈夫だから、お前の、……」
上体を起こした士郎が、腕を伸ばして、絢也のいきり立ったモノに触れた。
「ッ……」
士郎の長くて綺麗な指が、自分のモノに触れている。
その感触だけで、暴発しそうだった。
「それ、欲しい……、奥が、ジンジンして」
士郎は、自分が言っていることを、分かっているのだろうか。
「ははっ……変だよな、初めてなのに、それ、入れたら気持ちイイって、なんか分かるんだ」
士郎が欲望に蕩けた声で、耳を疑うようなことを言う。
身をよじって、ベッドサイドの引き出しを開けようとするから、絢也が手を貸した。
引き出しの中から出てきたのは、絢也もパッケージだけは見たことがある代物だった。
——ここで、士郎は何人、女を抱いたんだろう。
ベッドサイドに常備されているような置き方に、絢也はついそう思ってしまう。
それを見透かしたように、士郎が言った。
「ここに女を入れたことはねえよ」
「え……？」
「紗栄子、ああ、前の彼女は、ここに呼ぼうと思って、結局くる前に別れてるし。それ以降も、誰も入れてねえ。だから、お前が、初めて」
今度こそ、絢也は興奮で血管の一本くらい本当に切れるんじゃないかと思った。
手が震えて、うまくつけられない。
ようやく装着すると、絢也は士郎の脚を抱えて、思い切り開かせた。
「優しくできなかったら、ごめん」
そう言って、絢也は紅く綻んだ士郎の後孔に、ローションをまとわせた切っ先をあてがい、ゆっくりと沈ませる。
「は、ッぁ、ああ……すげ、絢也の、入ってくる……ッ」
士郎のまなじりから、涙が一粒、ポロリと溢れた。
——ヤバイ。
初めて感じる士郎の温かな肉壁に包まれて、絢也の頭の中はその一語で埋め尽くされた。
ヤバイ。
ヤバすぎる。
「ああ、あ……絢也、の、硬くて、熱いッ……」
「あんま、煽んなって……お前ん中、よすぎて、我慢、してんだから」
「マジ？ へへっ、なんか、それ……嬉しい」
実際、達してしまわないように、他のことに意識を逸らそうと、絢也は必死だった。
士郎のナカは、絢也のモノを飲み込んで隙間なくみっちりと広がり、ねっとりと締めつけ、なおも奥へ奥へと誘うようにうねる。
率直に言って、夢だってこんなに都合良くはないだろうと思うほどに、気持ちよすぎた。
その細い腰を掴んでめちゃくちゃに打ち付けたい衝動を必死に堪えて、ゆっくりと前後にゆすりながら、奥を目指す。
「ぁ、ああ！ 絢也ぁ、そこッ」
覚えたばかりの前立腺を擦った感覚と同時に、士郎がビクビクと身体を震わせた。
「ぁあッ、あ、んんッ」
そこをくびれの部分でひっかけるように擦ってやると、明らかに快楽の滲んだ、甘い甘い声が士郎から零れ落ちる。
ぎゅうぎゅうと絞られるような内壁の動きに、絢也は耐えるのがやっとだった。
「気持ちイイ？」
「ん、気持ち、イイッ……ぁ、ああッ」
素直に快感を訴える士郎が愛おしくて、たまらなくて、絢也はさらに奥へと腰を打ち付けた。
「あ、やッ、絢也ッ、それ、深い……ッ！」
ずん、ずんと深く穿つ動きに揺さぶられながら、士郎が切れ切れに声をあげる。
最奥に行き当たった感覚があって、そこをさらに突き上げた。
「やッ、なにそれ、ぁ、ああッ、やだッ、絢也ぁ、それッ、ヤバいッ」
「ん？ 痛い？」
乱暴にしすぎたか、と絢也が動きを止めると、士郎は違うと頭を横に振った。
「おかしい、俺、そんなとこ、でも、気持ちイイ……」
だから、もっと。そう蕩けた瞳にねだられて、絢也は意識が半分遠のいた。
——士郎がこんなにエロいなんて、絶対誰にも教えたくねえ。
「あ、ああッ、絢也ッ、絢也ぁ、イイ、気持ちイイ」
滴り落ちそうに甘い声で名前を呼ばれて、絢也はもう限界だった。
肉と肉がぶつかる音を響かせて、ズンズンと最奥を穿ちながら、士郎のびしょ濡れの前もしごいた。
「ああッ、それッ、だめ、あ、イきそ、ああ、絢也ッ、イく、それイくッ……あ、ああ、あ……ッ！」
絢也の肩に爪を立てながら、士郎はビクビクと身体を跳ねさせて極まった。
同時に、搾り取るような士郎の内壁のうごめきに持って行かれるようにして、絢也も薄い膜の中に精を放つ。
はあ、はあと二人分の息遣いが、寝室に響いていた。
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